「Gemini Enterprise」という名前をニュースや営業資料で見かけたけれど、普段使っているGeminiやGoogle WorkspaceのGeminiと何が違うのか、いまひとつピンとこない――そんな方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、Gemini Enterpriseとは企業向けに提供されるAIプラットフォームで、単なるチャットAIではなく、社内データの検索やAIエージェントの活用までを担うサービスです。製品体系や機能が多く、初めて調べると混乱しやすいのも事実です。
この記事では、Gemini Enterpriseとは何か、何ができるのかという基本から、連携できるサービス、エディション、料金、セキュリティまで、初めての方にもわかりやすく全体像を整理していきます。気になる項目から読み進めていただいても構いません。
Gemini Enterpriseとは?意味や仕組みをわかりやすく解説
Gemini Enterpriseとは、Googleが企業向けに提供するAIプラットフォームです。社内外の情報をAIから検索・活用できるようにし、AIアシスタントやAIエージェントの機能もひとつのサービスの中でまとめて利用できます。Google公式ドキュメントでも「イントラネット検索、AIアシスタント、エージェントプラットフォーム」と定義されています。
Gemini Enterpriseは企業向けのAIプラットフォーム
Gemini Enterpriseの中心になっているのは、次の3つの機能です。
- 検索:社内に散らばった情報をまとめて探せる
- AIアシスタント:情報をもとに質問への回答や文章の作成ができる
- AIエージェント:あらかじめ用意された、または自社で作成したエージェントに業務を任せられる
これら3つの機能を、ひとつのサービスとしてまとめて使えることが、Gemini Enterpriseの大きな特徴です。
社内データと接続して検索・回答・業務の実行まで行える
「企業向けAIプラットフォーム」と言われても、具体的に何が起きているのかはイメージしづらいかもしれません。仕組みをシンプルに整理すると、次の3段階で考えるとわかりやすくなります。
- 検索:社内の文書やSaaSなどのデータをGemini Enterpriseに接続し、それらを横断して検索できるようにする
- 回答:接続した情報を根拠に、AIへ質問して回答やコンテンツの生成をしてもらう
- 実行:AIエージェントを使って、検索・回答のその先にある業務のアクションまで任せる
「情報を探す」だけで終わらず、「探した情報をもとに考えてもらい、実際の作業まで進める」ところまでを一つの流れでカバーできるのが、Gemini Enterpriseの仕組みです。
Google WorkspaceのGeminiとは別のサービス
Google Workspaceにも、Gmailやドキュメントなどで使えるGeminiのAI機能が搭載されています。ただし、これはGemini Enterpriseとは別のサービスです。
Google Workspaceの契約に、Gemini Enterpriseは自動的に含まれません。 利用するには、別途Gemini Enterpriseのライセンスが必要になります。両者の詳しい違いは、記事の後半で改めて比較します。
名前が似ていて分かりにくいものとして、ユーザーが普段利用する「Gemini Enterprise app」、エージェントの開発・運用などを担う「Gemini Enterprise Agent Platform」、資料をもとに調査・整理を行う「Gemini Notebook Enterprise」などがあります。
「Gemini Enterprise」という名称は、これらを含む広い意味でも使われるため、まずは「複数の機能や製品をまとめた総称」と捉えておけば十分です。なお記事によってはGoogle Agentspace、Vertex AIなどで紹介されている場合もあります。
Gemini Enterpriseで何ができる?主なできること5つ
ここからは、Gemini Enterpriseで具体的に何ができるのかを、5つに整理して紹介します。
①社内のデータや資料を横断して検索する
複数のサービスに散らばった社内の情報を、まとめて検索できます。キーワードだけでなく、自然な文章で「探したいこと」を伝えられるのも特徴です。
- 接続した複数のデータを横断して検索できる
- 自然な文章による検索に対応している
- 利用する人のアクセス権限を考慮したうえで検索結果が表示される
たとえば「昨年A社へ提出した提案書を探して」といったように、キーワードを工夫しなくても、話しかけるように情報を探せるイメージです。Google公式でも、権限を考慮したうえで企業情報を横断検索できる仕組みとして説明されています。検索できる範囲は、あくまで接続・連携させたデータに限られ、権限管理の設定次第で見える情報の範囲が変わるため、事前の権限整理が重要になります。
②社内データをもとに回答やコンテンツを生成する
検索するだけでなく、接続した企業データを根拠にしてAIへ質問し、回答やコンテンツを生成してもらうこともできます。
- 資料の要約
- 情報の整理
- 文章のドラフト作成
- テキストや画像などの生成
「生成AI」と「企業データの検索」が組み合わさっている点が特徴で、社内の情報を土台にした、より実務に即した回答を得やすくなります。Businessエディションには、チャット画面内でドキュメントやスライドを生成・編集できる「Canvas」というワークスペースも含まれています。
③Deep ResearchなどのGoogle製エージェントを利用する
Gemini Enterpriseには、あらかじめGoogleが用意しているエージェントもあり、「Agent Gallery」から利用できます。代表的なものが「Deep Research」で、複数の情報源を調べ、出典を明記した調査レポートを作成してくれる機能です。ほかにも、資料をもとに調査・整理を行う「Gemini Notebook Enterprise」を利用できます。
これらのAI機能には1日あたりの利用回数に上限があり、上限の大きさはエディションによって異なります。たとえばBusinessエディションのヘルプ(2026年9月時点)では、テキスト生成が1日120クエリ、Deep Researchが1日3件、ノーコードでのエージェント作成が1日1件までとされており、これらはユーザー個人ごとではなくチーム全体でまとめて消費される仕組みです。
④Agent Designerで自社向けのAIエージェントを作る
あらかじめ用意されたエージェントを使うだけでなく、「Agent Designer」を使えば、自社向けのAIエージェントをノーコードで作成できます。プログラミングの知識がなくても、自然な言葉で指示をしながら作成を進められる点が特徴です。
- 自社のルールやデータ、業務内容に合わせたエージェントを作れる
- 社内FAQへの回答や、定型的な作業の自動化などに応用できる
なお、エージェントの作成にも1日あたりの上限があり(Businessエディションでは1件/日、チーム全体でプール)、上限はエディションによって異なります。
⑤外部ツールと連携して業務を実行・自動化する
Gemini Enterpriseは「質問に回答して終わり」のサービスではありません。接続した外部システム上で、実際のアクションを行うこともできます。
- 接続したシステム上でのアクション実行
- 複数のアプリにまたがる業務の自動化
これが、一般的なチャットAIとAIエージェントの大きな違いです。どのようなサービスと連携できるのかは、次の章で詳しく紹介します。
Gemini Enterpriseはどんなツール・データと連携できる?
「自社ですでに使っているサービスにもつながるのか」という疑問にお答えします。ここではすべての連携先を網羅するのではなく、Googleのサービスだけでなく他社サービスともつながるということを押さえていただければ十分です。
Google Workspaceのデータと連携できる
Gemini Enterpriseは、Google Workspaceのデータとも連携できます。普段の業務で使っているデータを、AIから検索・活用できるようになります。なお、これはあくまで「データ連携」の話であり、前述の「Google WorkspaceのGeminiとは別サービスである」という製品としての違いとは分けて考える必要があります。
Microsoft 365やJiraなど他社サービスとも連携できる
Gemini Enterpriseは、Google以外のサービスとも連携できます。公式サイト・公式ドキュメントで確認できる代表的な連携先は次のとおりです。
| 分類 | 連携先の例 |
| Microsoft系 | Microsoft 365、SharePoint、OneDrive、Teams |
| プロジェクト管理・ナレッジ | Jira、Confluence |
| 業務システム | ServiceNow、HubSpot |
| コミュニケーション・ファイル | Slack、Notion、Box |
| 開発 | GitHub |
対応サービスは今後も更新される見込みのため、最新の連携先一覧は必ずGoogle公式サイトでご確認ください。
利用できるコネクタの範囲はエディションによって異なります。公式のエディション比較表では、Businessは「セグメントに関連するコネクタ」、Standard以上は「データコネクタのエコシステム全体」にアクセスできるとされています。
アクセス権限を考慮して社内データを利用できる
データと「接続できる」ことと、社内の全員がその情報を「見られる」ことは別の話です。Gemini Enterpriseは、既存のアクセス権限を考慮したうえで検索・利用ができる仕組みになっています。逆にいえば、導入前に社内のアクセス権限が整理されていることが重要になります。
Gemini Enterpriseの主な活用例
「できること5つ」で紹介した機能が、実際の業務ではどのように使われるのかをイメージできるよう、部門ごとの活用例を簡単にまとめました。
| 部門・業務 | 活用イメージ |
| 営業 | 過去の提案書・商談情報を検索して提案準備 |
| マーケティング | 調査・情報整理・コンテンツ案作成 |
| 総務・人事 | 社内規程や手続きに関する問い合わせ対応 |
| カスタマーサポート | マニュアルや問い合わせ履歴から必要な情報を検索 |
| 情報システム | 社内FAQや業務エージェントの構築 |
上記はあくまで「こんな使い方ができそう」という想定例なので、導入すれば必ずこの通りの効果が出る、というものではありません。とはいえ、自部門の欄を眺めて「あの作業なら任せられるかも」と置き換えて考えてみると、意外と身近なところにヒントが見つかったりします。気になる使い方があれば、ぜひ小さく試すところから始めてみてくださいね。
Gemini Enterpriseにはどんなエディションがある?
Gemini Enterpriseには複数のエディションがあり、2026年9月時点では、Business・Standard・Plus・Frontline・Pay-as-you-goが公式のエディション比較表に掲載されています。ここでは、料金の前提となる「そもそも何種類あるのか」を整理します。
Businessエディション
小規模〜数百人規模のチームでの利用を想定したエディションです。Agent Designer、Gemini Notebook Enterprise、Deep Researchなどのあらかじめ用意されたエージェント、Canvasといった機能が利用できます。詳しい利用可能人数は公式サイトでご確認ください。また前述のとおり、AI機能の1日あたりの利用上限は、Standard・Plusと比べて小さく設定されています。
Standard・Plusエディション
より本格的な全社利用を想定したエディションで、Businessよりも広い範囲の機能が使えます。VPC Service Controlsや顧客管理の暗号鍵など、高度な企業向けの管理・セキュリティ機能が含まれるのも特徴です。
製品として利用できる人数(シート数)自体には上限がありません。ただし、購入方法によって一度に契約できる席数には条件がある場合があります。
Frontline・Pay-as-you-goエディション
Frontlineは、現場で働くスタッフの利用を想定したエディションです。公式のエディション比較表では独立したエディションとして掲載されている一方、公式FAQでは「Standard・Plusエディションのお客様がアドオンとして購入できる」とも案内されており、Standard・Plusの契約を前提に追加購入するエディションです。FrontlineにはStarterとWorkerの2種類があり、1日あたりの利用上限もそれぞれ異なります。
Pay-as-you-goは、シートあたりの固定料金がかからず、利用量に応じて課金される選択肢です。ただし、現時点では提供が一部の組織に限定されているなど条件があるため、誰にでも当てはまる基本プランというわけではありません。
Gemini Enterpriseの導入を検討する際は、自社にはどのエディションが合うのか、既存のGoogle Workspaceとどう組み合わせるとよいのか、迷う場面も多いはずです。 ムームードメインでは、Gemini Enterprise導入に関するご相談を無料で承っております。 Google Workspace正規代理店ならではの割引などのメリットもございますので、導入を検討される際はぜひお気軽にこちらの無料相談窓口からご相談ください。
Gemini EnterpriseとGoogle WorkspaceのGeminiの違い
ここまでにも触れてきたとおり、Gemini EnterpriseとGoogle WorkspaceのGeminiは別のサービスです。混同されやすいポイントなので、簡単な比較表で整理します。
| 比較軸 | Google WorkspaceのGemini | Gemini Enterprise |
| 主な目的 | 日常業務のAI支援 | 企業データ・AIエージェントの横断活用 |
| 利用場所 | Gmail、ドキュメント、Meetなど | 専用のアプリ・環境 |
| 接続できるデータ | 主にWorkspace内のデータ | Google Workspaceに加え外部SaaSなど |
| AIエージェント | 限定的 | Agent Designerなどで作成・活用が可能 |
| 契約 | Workspaceの契約に含まれる場合がある | Workspaceとは別ライセンスが必要 |
Google公式のFAQでは、「Google Workspaceは、Geminiの強力なAIアシスタンスを、Gmail、Googleドキュメント、Meetなど、チームが日常的に使用するアプリに直接組み込みます」「Gemini Enterprise appは、単一の安全な環境でAIエージェントを発見、作成、共有、実行できます」と説明されています。
まとめると、Google WorkspaceのGeminiは日常業務のAI支援が中心、Gemini Enterpriseは企業内外のデータやAIエージェントを横断して活用するためのプラットフォーム、という整理になります。なお、Google WorkspaceのBusiness・EnterpriseエディションにはGeminiのAI機能が含まれていますが、これとGemini Enterpriseは別ライセンスである点も改めて押さえておいてください。
Gemini Enterpriseの料金
企業向けサービスなので、料金が気になる方も多いはずです。
- Businessエディション:月額21米ドル~(シートあたり)
- Standardエディション:月額30米ドル~
- Plusエディション:Standardより上の価格帯だが、単価は公式に個別公開されていない
円換算は為替相場によって変動するため、本記事では米ドル表記のみとしています。
ストレージやデータインデックスなど、利用量に応じて追加費用が発生する仕組みもあります。Businessエディションには30日間の無料トライアルが用意されています。
Gemini Enterpriseのセキュリティとデータの扱い
社内の情報を接続して使うサービスだからこそ、「安全に使えるのか」は気になるポイントです。
- 顧客のデータは顧客自身が所有する
- プロンプトや出力などのデータは、Googleのモデルや他の顧客のモデルの学習に使用されない
- 第三者へのデータ販売は行われない
- 広告への利用も行われない
上記は、Businessエディションの公式ページに明記されている内容です。
これらの基本的なセキュリティ・ガバナンスの考え方は、Business・Standard・Plusの3エディション共通です。一方で、VPC Service Controlsや顧客管理の暗号鍵(CMEK)、アクセスの透明性、データ所在地の指定、HIPAAやFedRAMP Highといったコンプライアンス要件への対応といった高度な統制機能は、公式サイト上でStandard・Plusエディションの機能として案内されています。「Businessにはセキュリティ機能がない」という意味ではなく、「基本的な仕組みは共通、より高度な統制機能はStandard・Plus」と2段階で理解しておくとよいでしょう。
Gemini Enterpriseを利用するには?
Gemini Enterpriseを使い始めるには、次のようなステップが必要です。
- 利用するエディションを決める
- ライセンスを用意する
- 必要に応じてGoogle Cloud側の設定を行う(Standard・Plusの場合)
- 接続するデータやアクセス権限を決める
- まずは小さな範囲から試してみる
Businessエディションであれば、特別なITのセットアップは不要で、仕事用のメールアドレスがあればアカウントを作成できます。一方、Standard・Plusエディションは、Google Cloudのアカウントやプロジェクトの用意、課金の有効化など、Businessとは異なる前提が必要です。Standard・Plus・Pay-as-you-goはGoogle Cloudコンソールから購入できますが、一度に購入できるシート数には条件があり、それを超える場合は営業への問い合わせが必要になります。
Gemini Enterpriseに関するよくある質問
Google Workspaceを契約していなくても利用できますか?
Gemini Enterpriseは、Google WorkspaceのGeminiとは別サービスです。Google Workspaceのサブスクリプション経由で購入できる場合もありますが、Workspace契約の有無にかかわらず、Gemini Enterpriseのライセンスは別途必要になります。
個人や小規模な会社でも利用できますか?
Businessエディションは、小規模な企業やチームでの利用も想定されています。個人事業主でも利用できます。ただしアカウント作成には仕事用のメールアドレスが必要です。
日本語でも利用できますか?
はい、日本語での利用が可能です。
無料で試すことはできますか?
Businessエディションには30日間の無料トライアルが用意されています。ただし、トライアル期間終了後も無料で使い続けられるプランがあるという意味ではありません。なお、Pay-as-you-goはシートあたりの固定料金が0ドルですが、利用量に応じた課金は発生するため、こちらも「無料で使える」プランとは異なります。
Google WorkspaceのGeminiと併用できますか?
はい、併用できます。両者は別のサービスなので、Gemini Enterpriseを契約してもGoogle WorkspaceのGeminiが使えなくなるわけではありません。Workspace側は日常業務のAI支援、Gemini Enterpriseは社内データやAIエージェントの横断活用と、役割が異なります。
まとめ
Gemini Enterpriseは、企業向けに提供されるAIプラットフォームです。社内外のデータに接続し、検索・回答の生成・AIエージェントの活用までを一つのサービスの中で行えます。Google WorkspaceのGeminiとは別サービスであり、Business・Standard・Plusなど複数のエディションが用意されている点も押さえておきたいポイントです。
まずは自社でどのような業務にAIを活用したいのかを整理したうえで、必要な機能やエディションを確認してみてください。
Gemini Enterpriseの導入を検討されている方は、ぜひムームードメインの無料相談をご活用ください。Google Workspace正規代理店ならではの割引などのメリットもございますので、こちらの無料相談窓口からお気軽にご相談ください。



