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守ることと、変えること。歴史ある酒蔵のDXチャレンジ

守ることと、変えること。歴史ある酒蔵のDXチャレンジ

鹿児島県にある若潮酒造株式会社は、地元で毎晩飲まれる焼酎を、1968年からずっと造り続けてきました。

伝統の銘柄を守る一方で、若潮酒造は常識にとらわれないお酒づくりもすすめてきた、いわば「改革者」でもあります。焼酎の常識を塗り替え、国際的な人気を誇る「GLOW」シリーズも、今や若潮酒造を代表する銘柄の一つです。

お酒づくりだけでなく、働き方についても新しいチャレンジを続けている若潮酒造。2026年7月には Google Workspace を導入し、事務仕事のDXにも取り組んでいます。

守ることと、変えること。その両方を大切にしている若潮酒造の常務取締役、上村曜介さんにお話を伺いました。

利用しているサービス:Google Workspace、ムームードメイン byGMOペパボ

昔ながらの焼酎と、新しいクラフトジン。どちらも造るのが自分たちの面白さ

鹿児島県志布志市には、毎晩地元のお酒を楽しむ「日常酒」という文化があります。中でも長年愛されているのが、若潮酒造の焼酎「若潮」です。1968年に地元の5つの蔵が集まって発足した若潮酒造は、この土地で日々飲まれる焼酎を造り続けてきました。

その若潮酒造が、ここ10年ほどで新しい銘柄を次々に出しています。芋焼酎の印象を変える「GLOW」シリーズ、「一日」シリーズ、クラフトジン。

「焼酎の需要が減っていく中で、新しい方にどうやって手に取ってもらうかを、自分たちで開拓していかないといけないと考えました」

新しい銘柄を出す一方で、昔からの銘柄はそのままにしておきたいという考えです。

「地元でずっと飲まれ続けている『若潮』は、そのままがいいと思っています。県外で『GLOW』を飲んで興味を持った方が蔵を訪ねてきて、志布志の飲み屋街でみんなが『若潮』を飲んでいるのを見て、喜んでくださるんです。両方あることが、いまの自分たちの面白さだと思っています」

若潮酒造が Google Workspace を選んだ理由

かつて銘柄が少なかった頃は、出荷にまつわる事務作業もシンプルでした。

しかし商品が増えるにつれて、販売先も増えてきます。問屋にとどまらず、全国の酒屋への配送、オンラインショップ、蔵の売店での直販、そして海外への輸出へ。受注や請求、配送の手配も、雪だるま式に増えていきます。

「もうこれ以上は人手が足りず、DXを進めていく必要があると考えるようになりました」

オンラインでの業務が増え、社内での業務チャットやスケジュール共有といった需要も日々高まっていきました。また、ただでさえ忙しい中、日々送られてくる迷惑メールへの対策にも手を焼いていました。

そんなときに上村さんが選んだのが Google Workspace でした。

「AIツールとの連携や、メールのセキュリティ面を考えたときに、Google Workspace が一番良いのではないかと思ったんです」

ムームードメインのサイト上で Google Workspace のお知らせを目にし、そのまま申し込んだそう。

使っていくうちに、自然と便利さが分かるのが理想

社内でDXを推進している上村さんですが、利用を広げるにあたっての工夫を伺いました。

「導入した立場の人間が『便利だから使ったほうがいい』と言ったところで、あまり意味がないと思っているんです」と上村さん。

強制的に広めることはせず、雑談やチャットの中で、関連する話題が出た際に「こういう使い方がありますよ」と伝えるくらいだそうです。

「最近は、Google Workspace のツールを使い始めた人から『やっぱり便利だね』という言葉が返ってくることもあります。使っていくうちに便利さが分かる、というのが一番いいと思います」

社内の利用用途は、日々広がっています。最近では、海外とのやりとりにおいて Gemini を活用しているそうです。

「日本語と英語の両方で文章を作成してほしいとお願いすれば、相手の方への文面はもちろんのこと、CCに入っている社内のメンバーも日本語で読めます。双方の理解に役立つので、重宝しています」

また輸出の際には、専用の書類や英語ラベルの作成といった複雑な工程が欠かせません。Gemini を活用し、各案件の状況を1枚のシートにまとめる仕組みづくりも始めました。

自発的に利用するメンバーが徐々に増え、先日は製造部からこんな提案が上がってきたそうです。

「Googleフォームを使って、業務改善のアンケートを会社として取る仕組みを作れないか、という提案をもらいました。どんなアンケートがいいか作ってみるようお願いしたら、本当に作ってくれて。匿名でも答えられるようにして『ここがもっと良くなったらいいな』という声を上げてもらっています」

苦手なことは、ツールに任せればいい

お酒づくりの仕事は、人の手で行う仕事も多く、今すぐデジタルツールやAIに置き換えられることは決して多くありません。

では、何のために新しいツールを入れるのでしょうか。上村さんの答えは、「メンバーの個性」でした。

「個性的なメンバーが多いんです。一人ひとりが自分の強みを発揮して、会社に対してできることをやろう、という雰囲気になっています。その一方で、事務処理が得意なメンバーも、そうでないメンバーもいます。なるべく苦手なことを減らしたい。ツールを活用すれば、メンバーの個性のいいところだけを出せるんじゃないか。その基盤として、まず Google Workspace を入れてみようと考えました」

最後に、同じように長く続いてきた会社へのメッセージを伺いました。上村さんは笑いながら、まずこう答えました。

「競合の焼酎メーカーには、入れてほしくないですね」

そのうえで、こう続けました。

「昔ながらのメーカーほど、自分たちの特徴を持っていると思うんです。これからは、それをもっと強く出していく必要がある。そこに力を注ぐために、基盤の部分はできる限りDXを進めるのが大事なんじゃないかと思います。始めようと思えば、割と手軽に始められますよ」

地元に根づく焼酎の伝統と、世界に羽ばたく新しい銘柄。その両方を造り続けるために、若潮酒造は新しいチャレンジを続けています。

会社概要

若潮酒造株式会社

  • 所在地:鹿児島県志布志市
  • 設立:1968年8月
  • 事業内容:焼酎・スピリッツ・リキュールの製造販売
  • 従業員数:35名
  • 代表商品:さつま白若潮、GLOW EP05、跳ねる一日、424GIN、f spirits

インタビュイー:常務取締役 上村 曜介 氏

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