「Gemini Enterpriseのコネクタで社内のファイルやチャットを横断検索できると聞いたけれど、うちのSharePointやSlackもつなげるのか」「設定は誰が担当するのか」。導入を任されて、こんな疑問を抱えていませんか?
本記事では、Gemini Enterpriseのコネクタの仕組みに加えて、自社のサービスに対応しているか、Businessエディションで足りるか、誰が何を設定するか、権限と保存場所はどうなるかを解説します。
※コネクタの対応状況は、2026年10月30日時点の公式情報にもとづいています。
Gemini Enterpriseのコネクタとは?社内のデータとつなぐ仕組み
Gemini Enterpriseのコネクタは、Googleや他社のサービスと接続し、その情報を検索や回答に使うための機能です。対応する接続先なら、メールの送信や課題の作成といった操作(アクション)も可能。
ただし、接続したサービスの情報や操作を、すべて無条件に使えるわけではありません。何を検索でき、どこまで操作できるかは、接続方式・利用者の権限・接続先ごとの対応機能で変わります。
データストアは接続設定や検索対象を管理する単位
データストアは、接続設定や検索対象を管理する単位です。接続先のデータをコピーして保存するのはデータ取り込みの場合で、後述するフェデレーテッド検索で接続するときもデータストアは作られますが、接続先のデータのコピーは持ちません。
接続先によっては、エンティティ(課題・コメント・添付ファイルなどデータの種類)ごとに別のデータストアが作られます。たとえばJira Cloudでは、課題・添付ファイル・コメント・作業ログ(worklog)がそれぞれ別のデータストアです。
※データストアの説明は、Standard/Plusを対象としています。
Gemini Enterpriseの製品全体の概要は、「Gemini Enterpriseとは」の記事で解説しています。
コネクタの3つの軸|データ取り込み・フェデレーテッド検索・アクション
Gemini Enterpriseのコネクタは、データ取り込み・フェデレーテッド検索・アクションの3つの軸で整理できます。前の2つは検索の方式で、アクションはそれと組み合わせて使う操作の機能です。
| 軸 | 何をするか | データの扱い・確認事項 |
|---|---|---|
| データ取り込み | 接続先のデータをコピーし、検索用の索引を作る | 同期・保存容量・保存場所を確認する |
| フェデレーテッド検索 | 検索のたびに接続先へ問い合わせる | 接続先のデータを検索索引として取り込まない。検索文字列の送信先を確認する |
| アクション | 情報の取得や、作成・更新・送信などを行う | 対応する操作と必要な権限を確認する。検索方式とは別の機能軸 |
※2026年10月30日時点の、Standard/Plus向けGoogle Cloud公式資料にもとづく内容です。
※アクションには、情報を読み取るだけの操作もあります。どの方式とアクションを組み合わせられるかは接続先ごとに異なり、主要なサービスの対応は「主要サービスの対応一覧」の章にまとめています。
出典:Introduction to connectors and data stores
データ取り込み(Data ingestion)|索引をGemini Enterprise側に作る
データ取り込みは、接続先のデータをGemini Enterpriseのインデックス(検索用の索引)にコピーする方式です。公式ドキュメントは、検索品質の向上が見込める一方で、ストレージと時間をより多く消費すると説明しています。
コピーを持つ以上、接続先での追加・更新・削除や権限の変更は、同期によって反映させる必要があります(同期の仕組みは「接続先サービスの閲覧権限は守られる?」の章で説明)。
フェデレーテッド検索(Federated search)|検索のたびに接続先へ問い合わせる
フェデレーテッド検索は、検索のたびに接続先から直接情報を取得する方式です。データを索引化しないため、取り込みより検索品質が下がる場合があると公式ドキュメントは説明しています。
接続先の検索機能やAPI(サービス同士をつなぐ窓口)を使うため、検索できる範囲は接続先にも左右される点に注意しましょう。たとえばStandard/PlusのSharePoint・OneDriveコネクタでは、ファイルの種類によって結果が網羅的でない場合があり、添付ファイルの中身は検索できません。検索文字列が接続先へ送られる点は、「データはどこに保存される?」の章で取り上げます。
アクション|接続先の情報を取得したり作成・更新したりする機能
アクションは、接続先の情報を取得したり、データを作成・更新・送信したりする機能です。Gmailでのメール送信、Jira Cloudでの課題の作成、SharePointでのリスト項目の更新などが代表例。
Google Cloudの公式コネクタ一覧にも、すべてのデータストアがアクションに対応するわけではないと注記されています。使いたい操作があるかは、「主要サービスの対応一覧」の章と、各接続先の公式ページで確認してください。
※この章の方式とアクションの説明は、2026年10月30日時点のStandard/Plus向け公式資料にもとづきます。
出典:Connect a third-party data source/Microsoft SharePoint/Microsoft OneDrive
エディション別に使えるコネクタ|BusinessとStandard・Plusの違い
Gemini Enterpriseで使えるコネクタは、エディションによって変わります。ここでは、BusinessとStandard・Plusの違いを詳しく見ていきましょう。
Businessは公式ヘルプに掲載された接続先を確認する
Businessエディションでも、コネクタは使えます。対象はBusiness向けの公式ヘルプに掲載された接続先で、Google系の5サービス(Google カレンダー・Google Chat・Google ドライブ・Gmail・Google サイト)と、50件を超える他社サービスが並んでいます。Microsoft 365、Jira Cloud、Confluence Cloud、Box、Slack、Notion、Salesforceなども対象です。
ただし、掲載されている接続先でも、できることは同じではありません。Business向けヘルプでは、一部の他社サービスに「読み取り専用のアクションのみ」と注記があります。Standard/Plus向けの資料に載っている方式やアクションを前提にせず、使いたいサービスの注記をBusiness向けヘルプで確かめておきましょう。
出典:Connect your Google apps and third-party data(Business向けヘルプ)
Standard・Plusはコネクタのエコシステム全体を利用できる
Standard/Plusでは、Google Cloudドキュメントの第三者コネクタ一覧に載っている接続先を利用できます。2026年10月30日時点の掲載数は次のとおりです。
- GA(一般提供):19項目
- Public Preview(公開プレビュー):119項目
- Private Preview(限定プレビュー):2項目。Confluence Data CenterとJira Data Centerのオンプレミス環境からの取り込みで、利用にはGoogleのアカウントチームへの申請が必要
一覧には、カスタムMCPサーバーのように特定のサービスを指さない項目も含まれます。
Previewの機能は現状のまま提供され、GAよりサポートが限られる場合があります。Public Previewには旅行・法務・金融データなど業務ツール以外の接続先も含まれるため、全件は公式の一覧で確認してください。
出典:Connect a third-party data source
StandardとPlusでコネクタの範囲は変わらない
Google Cloudの公式のエディション比較表では、コネクタに関する行がStandardとPlusで同じです(2026年10月30日時点)。コネクタの対応範囲は同じですが、保存容量などのクォータ(利用枠)は異なります。Plusの方がより多くのサービスにつながるわけではありません。エディションごとのストレージの容量は、「Gemini Enterpriseの料金・プラン」の記事で解説しています。
主要サービスの対応一覧|Businessで使えるか・どの方式に対応するか
中小企業で使われることの多い15のサービスについて、Gemini Enterpriseのコネクタに対応しているかをまとめました。まずはエディションごとに使えるかを確認しましょう。
| サービス | Business | Standard/Plus |
|---|---|---|
| SharePoint | ○ | ○ |
| Outlook | ○ | ○ |
| OneDrive | ○ | ○ |
| Teams | ○ | ○ |
| Jira Cloud | ○ | ○ |
| Confluence Cloud | ○ | ○ |
| ServiceNow | - | ○ |
| Box | ○ | ○ |
| Slack | ○ | ○ |
| Notion | ○ | プレビュー |
| Salesforce | ○ | プレビュー |
| Google ドライブ | ○ | ○ |
| Gmail | ○ | ○ |
| Google カレンダー | ○ | ○ |
| Google Chat | ○ | プレビュー |
※2026年10月30日時点の公式情報にもとづきます。Business列はBusiness向けヘルプに、Standard/Plus列はGoogle Cloudの公式コネクタ一覧に掲載されているサービスを示しています。
※○:対応/プレビュー:プレビュー版(Public Preview)で提供/-:公式ページに記載なし(非対応とは限りません)
Standard/Plusでは、接続先ごとに使える方式が異なります。方式ごとの対応は次のとおりです。
| サービス | 取り込み | フェデレーテッド検索 | アクション |
|---|---|---|---|
| SharePoint | ○ | ○ | ○ |
| Outlook | ○ | ○ | ○ |
| OneDrive | ○ | ○ | ○ |
| Teams | - | ○ | ○ |
| Jira Cloud | ○ | ○ | ○ |
| Confluence Cloud | ○ | ○ | ○ |
| ServiceNow | ○ | ○ | ○ |
| Box | 申請制 | ○ | ○ |
| Slack | - | ○ | ○ |
| Notion | - | プレビュー | プレビュー |
| Salesforce | - | プレビュー | プレビュー |
| Google ドライブ | * | * | ○ |
| Gmail | * | * | ○ |
| Google カレンダー | * | * | ○ |
| Google Chat | - | プレビュー | プレビュー |
※2026年10月30日時点の、Standard/Plus向けの公式資料にもとづきます。Businessの設定はコネクタのスイッチをオンにする手順で、方式を選ぶ項目がないため、この表はStandard/Plusが対象です。
※○:対応/プレビュー:プレビュー版(Public Preview)で提供/申請制:Googleへの申請が必要な限定プレビュー(Private Preview)/-:公式ページに記載なし(非対応とは限りません)
※*:検索には対応していますが、どちらの方式で検索するかは公式ページに記載がありません。
※アクションは、同じサービスでも操作ごとに提供段階が違う場合があります(例:2026年9月18日にMicrosoft 365の4サービスへ追加されたアクションはプレビュー版)。
出典:Connect your Google apps and third-party data(Business向けヘルプ)/Connect a third-party data source/Connect a Google data source/Gemini Enterprise release notes
Microsoft 365・Atlassian・ServiceNowはサービスごとに接続方式を確認する
Standard/Plusの場合、SharePoint・Outlook・OneDriveは、データストアを作る画面で接続モード(フェデレーテッド検索かデータ取り込みか)を選びます。Teamsは、現行のセットアップページで案内されているのがフェデレーテッド検索だけで、接続に必要なMicrosoft側の権限(委任権限)には、すべて管理者の同意が求められます。
Jira Cloudは「フェデレーテッド検索のみ」「フェデレーテッド検索+アクション」「取り込みのみ」「取り込み+アクション」の4通りで、必要なスコープ(Gemini Enterpriseが接続先で行える操作の範囲)が異なります。Confluence Cloudも、フェデレーテッド検索用と取り込み用でスコープが別です。
ServiceNowは、使い方によって認証の方式が変わります。
- 取り込みのみ:ROPC(ユーザー名とパスワードで認証する方式)
- フェデレーテッド検索・アクション:Authorization Code(利用者がサインインして許可する方式)
- 取り込み+アクション:上の2つの両方
どの組み合わせで使うかを先に決めておくと、接続先の管理者に設定を依頼しやすくなります。
出典:Set up a SharePoint data store/Microsoft Teams/Jira Cloud/Confluence Cloud/ServiceNow
Box・Slack・Notion・Salesforceは方式と提供段階を確認する
Standard/PlusでのBoxのフェデレーテッド検索は、Googleが管理するOAuthアプリを使います。OAuthは、接続先へのアクセスを利用者本人が許可する仕組みのこと。そのため、Box側で独自のアプリを登録する必要はありません。一方、データ取り込みはPrivate Previewで、その設定ページにはBox Developer Consoleでのアプリ作成や管理者の承認が案内されています。アプリ登録が不要なのは、フェデレーテッド検索で接続する場合だけです。
Slackは、Slack AI検索を含むSlackのプランが前提です(Standard/Plus向けの設定資料)。アプリの承認方法は、Slack管理者の設定によって、事前承認・申請制・直接インストールのいずれかになります。
NotionとSalesforceは、Public Preview(公開プレビュー)の段階です。Salesforceでは接続の前に、Salesforceの管理者がSalesforce AppExchangeから専用の管理パッケージ(Gemini Enterprise - Salesforce Connector)をインストールしておく必要があります。独自のOAuthアプリを用意する必要はなく、データを変更するアクションは、管理者が有効にするまでオフのままです。
出典:Set up a Box data store/Box configuration/Set up a Slack data store/Notion/Salesforce
Google Workspaceはサービスごとに方式とアクションを確認する
Standard/Plusでは、Google ドライブ・Gmail・Google Chat・Google カレンダーの新しいコネクタもGoogleが管理するOAuthアプリを使うため、自社で独自のクライアントIDやシークレットを用意する必要はありません。
Google Chatは、フェデレーテッド検索とアクションがPublic Previewの段階です。アクションの例は、ドライブならファイルの検索や共有、Gmailならメールの送信や下書きの作成です。
Standard/Plusで使うには、Google Workspaceの組織アカウントとCustomer ID(組織ごとの識別番号)が必要です。個人のGoogleアカウント(@gmail.com)はCustomer IDを持たないため、データコネクタの対象外になります。
出典:Google Drive/Google Chat/Connect a Google data source
接続先の契約条件と、ファイル操作の制限を分けて確認する
接続先サービス側には、Gemini Enterpriseの料金とは別に、契約やアカウントの条件があります。
- Outlook:有効なMicrosoft 365ライセンス(Business向けヘルプ)
- Slack:Slack AI検索を含むプラン(Standard/Plus向け資料)
- Box・Dropbox:組織・チーム向けのアカウントのみ(Business向けヘルプ)
- HubSpot:HubSpotの管理者による認可(Business向けヘルプ)
- monday.com:先にMarketplaceから連携をインストール(Business向けヘルプ)
Gemini Enterprise側には、ファイルのアップロード/ダウンロード操作の上限があります。Standard/Plus向け資料では、SharePoint・OneDriveが50MB、Google ドライブが75MB、Slackが90MB、Confluence Cloudが200MB。Business向けヘルプでは原則50MB、Outlookは25MBです。
これは検索や取り込みの対象にできるファイルの上限とは別の数字です。Google ドライブには、検索用に抽出するテキストの量などの制限が別に定められています。
出典:Connect your Google apps and third-party data(Business向けヘルプ)/Microsoft SharePoint/Google Drive/Slack/Confluence Cloud
コネクタの設定の流れ|必要な役割と作業を確認する
コネクタの設定は、BusinessではGemini Enterpriseの設定画面から、Standard/PlusではGoogle Cloudのコンソールから行います。どちらも、契約とライセンスの準備が済んだあとの作業です。
Business|管理者がコネクタを有効にし、利用者が接続先に認証する
Businessエディションでは、管理者がチームで使うコネクタを有効にし、利用者が自分のアカウントで接続します。流れは次のとおりです。
| 段階 | 担当 | やること |
|---|---|---|
| ①チームで使うコネクタを有効にする | 管理者 | business.gemini.googleにサインインし、「Settings & help」から自分のチームを選んで「Manage team」→「コネクタ」(Connectors)を開き、使いたい接続先のスイッチをオンにする |
| ②Google Workspaceのデータの利用を許可する | 管理者 | Google ドライブやGmailなどのデータを使う場合は、Google管理コンソールの「生成AI」→「Gemini Enterprise」→「Business エディション」で、「Gemini Enterprise に Google Workspace データへのアクセスを許可する」をオンにする |
| ③事前の設定 | 利用者 | Googleアカウントの「他の Google サービスのスマート機能」の設定をオンにする |
| ④自分のアカウントで接続する | 利用者 | 画面左下の歯車アイコンから設定を開き、「コネクタ」で使いたいアプリの「接続」を選ぶ。Google系のサービスはそのまま接続でき、他社サービスは接続先のアカウントで認証する |
※2026年10月30日時点のBusiness向けヘルプとGoogle Workspace管理者ヘルプにもとづきます。英語表記の画面名は、日本語表示では名称が異なる場合があります。
利用者の画面に使いたい接続先が表示されない場合は、管理者に①と②の設定を確認してもらいましょう。
出典:Connect your Google apps and third-party data/Available roles for your team/ユーザーに対して Gemini Enterprise を有効または無効にする(Google Workspace管理者ヘルプ)
Standard・PlusはGoogle Cloud側・接続先側・利用者の役割を分ける
Standard/Plusの設定には、Google Cloud側の権限、接続先サービス側の登録や同意、利用者本人の認証という役割が関わります。次の表で、自分でできる作業と依頼する作業を切り分けてみてください。
| 段階 | 担当 | やること |
|---|---|---|
| ①接続先と方式を決める | 導入担当+接続先の管理担当 | 使う接続先・方式・アクションの有無を決める(「主要サービスの対応一覧」を参照) |
| ②ID連携の要件を確認する | Google Cloud/IDの管理担当 | 既存のID設定と接続の要件を確認する。Microsoft 365を取り込み方式で使う場合は、Microsoft Entra IDとWorkforce Identity連携(外部のID管理基盤で利用者を識別する仕組み)が必要 |
| ③接続先で登録・同意を行う | 接続先の管理担当 | Microsoft Entra IDへのアプリ登録と管理者の同意、Atlassianのスコープ設定、ServiceNowのOAuth登録など(接続先・方式によって異なる) |
| ④データストアを作成する | Discovery Engine 編集者のロール(Google Cloudでデータストアを作れる権限)を持つ担当者 | Google Cloudコンソールの「Data stores」→「Create data store」で接続先を選び、方式・認証・保存場所を設定する |
| ⑤アクションの設定を確認する | データストアの設定担当 | 使うアクションを有効にする。読み取りだけで使う場合も、既定で有効な書き込みアクションがないかを確かめ、不要ならオフにする(データストアの作成時・作成後のどちらでも設定可) |
| ⑥アプリに関連付けて認証する | アプリの設定担当+利用者 | データストアをアプリ(利用者が検索やチャットに使うGemini Enterprise側のアプリ)に関連付ける。接続先によっては、利用者本人が接続先にサインインして許可する |
※2026年10月30日時点のStandard/Plus向け公式資料にもとづきます。画面名は英語表示の場合です。
※1人が複数の役割を兼ねることもあります。Google管理のOAuthを使う接続先(Google Workspace系、Boxのフェデレーテッド検索など)では、③のアプリ登録は不要です。
たとえばSharePointでは、読み取りだけの用途なのに既定の書き込みアクションが有効なままだと、Microsoft Entra ID側に書き込みの権限がないために認証や同期のエラーになります。⑤の段階で確かめておきましょう。
接続先の管理者権限を持っていない場合は、③の作業を接続先の管理担当者に依頼する段取りを先に組んでおくと進めやすくなります。
出典:各コネクタのセットアップページ(例:Set up a SharePoint data store)/Manage actions/Configure identity provider
接続後は検索範囲・権限・利用するアクションを確認する
接続できたら、検索できる範囲と権限もあわせて確かめておきましょう。権限の異なる利用者で検索してみて、見えるべき情報が見え、見えてはいけない情報が出ないかを確認します。
アクションを使う場合は、意図した操作だけが有効になっているか、接続先の権限と食い違っていないかも確かめておきましょう。
接続先サービスの閲覧権限は守られる?方式ごとの仕組みと例外
Gemini Enterprise経由で、本来見えてはいけない情報が見えてしまわないか。導入時に気になる点の1つでしょう。
接続先サービスの閲覧権限は、Gemini Enterpriseの検索にも反映されます。権限に対応した検索はすべてのエディションに含まれており、利用者は自分が閲覧できる範囲の情報だけを検索できる仕組みです。ただし、権限の反映のしかたは方式によって異なり、一部の接続先には例外もあります。
フェデレーテッド検索は利用者本人の権限を基に検索する
フェデレーテッド検索では、利用者本人の権限で接続先を検索します。SharePointの公式ページは「検索結果は、アプリの権限ではなくユーザーの権限にもとづく」と説明しています。OneDriveで使う委任権限のFiles.Read.Allも、「ユーザーがアクセスできるすべてのファイル」を読み取る権限です。
検索で閲覧できる範囲と、書き込みを行うアクションの権限は、別のものとして確認してください。接続先ごとに検索の仕組みが異なるため、接続先の画面で検索したときと同じ結果がそのまま返るとは限りません。
データ取り込みは文書の権限と利用者・グループ情報を同期する
データ取り込みでは、文書のデータとあわせて、ACL(文書などを誰が見られるかを示す情報)も取り込み、定期的な同期で接続先の状態に合わせます。同期には、文書と権限を更新する「エンティティの同期」と、グループに属するユーザーの情報を更新する「IDの同期」があり、それぞれスケジュールを設定できます。
気をつけたいのは、権限を変えてから検索結果に反映されるまでに時間差が出る点です。グループの所属を変えた場合はIDの同期、文書の権限を変えた場合はエンティティのフル同期(すべてのデータを取り直す同期)が完了した時点で反映されます。追加・更新だけを取り込む増分同期では、ユーザー情報と削除は反映されません。
Microsoft 365(SharePoint・OneDrive・Outlook)を取り込み方式で使う場合は、ID連携(Microsoft Entra IDとWorkforce Identity連携)の設定も必要です。設定の流れは「コネクタの設定の流れ」の章で紹介しています。
接続前に確認したい権限の例外|JiraとServiceNow
接続先によっては、接続先の画面と同じ権限の範囲にならないケースがあります。代表的なのは次の2つです。
1つ目は、想定していた制限が引き継がれない例です。Standard/PlusでJira Cloudをデータ取り込み方式で接続すると、非公開のコメントに付いた添付ファイルが、コメントの閲覧制限を引き継ぎません。ユーザーやグループのカスタムフィールドにもとづく権限にも対応していません。
2つ目は、検索できる範囲が狭くなる例です。Standard/PlusのServiceNowコネクタは、インシデント(Incident)の閲覧について「ロールにもとづく広い権限は反映しない」と説明されています。ServiceNow上ではitilなどのロールですべてのインシデントを閲覧できる人でも、Gemini Enterpriseでは同じ範囲を検索できるわけではありません。
ここに挙げたのは一部の例です。本番利用を始める前に、検証用に接続して、実際の文書や添付ファイルを使い、権限の異なる利用者で検索結果を確かめておきましょう。ID連携や暗号化を含むセキュリティの全体像は、「Gemini Enterpriseのセキュリティ」の記事で解説しています。
※方式・同期と例外の説明は、2026年10月30日時点のStandard/Plus向け公式資料にもとづきます。
出典:Introduction to connectors and data stores/Configure identity provider/Jira Cloud/ServiceNow configuration
データはどこに保存される?方式別の所在と、接続先に送られるもの
コネクタを使うと、社内のデータがGoogle側に保存されるのか、保存されるならどこなのか。導入前に確かめておきたい点です。方式ごとのデータの所在を、次の表にまとめました。
| 方式 | 接続先のデータ | Gemini Enterprise側 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| データ取り込み | 接続先にも残る | 取り込んだデータと検索用の索引を保持する | 同期・保存場所・保存容量 |
| フェデレーテッド検索 | 検索のたびに接続先の検索機能やAPIから取得する | 接続先のデータを検索索引として取り込まない | 検索文字列の送信先、会話や認可情報の扱い |
※2026年10月30日時点の、Standard/Plus向けGoogle Cloud公式資料にもとづく内容です。
※フェデレーテッド検索でも、会話の記録や、接続先への認可情報・パーソナライズ設定などはGemini Enterprise側に保持されます。アクションでデータを書き込んだ場合、書き込み先は操作した接続先です。
会話履歴の保持期間や暗号化の方式は、「Gemini Enterpriseのセキュリティ」の記事をご覧ください。
フェデレーテッド検索では検索文字列が接続先へ送られる
フェデレーテッド検索では、検索のたびに次の情報が接続先へ送られます。
- 送信先:有効にしているすべての他社の検索先に、検索文字列が送られる
- 送られうる情報:検索文字列。検索リクエストの内容や、会話履歴の一部が含まれることがある。接続先によっては、精度を上げるためにAIが検索文字列を書き換えてから送る場合もある(Slackなど)。接続先は、その検索を利用者のIDと結び付けられる
- 適用される規約:接続先に送られたデータには、Google Cloudではなく接続先の利用規約とプライバシーポリシーが適用される
会話の全文が常に送られるわけではありません。ただ、どの接続先を有効にするかで、検索文字列が届く範囲は変わります。自社の情報の取り扱いルールと、有効にしている接続先の組み合わせを照らし合わせておきましょう。
保存場所はエディションとコネクタの条件を分けて確認する
Standard/Plusでは、データストアを作るときに保存場所(ロケーション)を選びます。SharePoint・OneDrive・Slack・Notion・Salesforce・Google ドライブ・Gmail・Google Chatなど主要なコネクタのデータストアは、global・us・euのみに対応しています。usは米国、euは欧州連合(EU)のマルチリージョン(複数の地域にまたがる保存先)で、globalは保存地域を特定の国・地域に限定しない場合に選ぶものです。
Gemini Enterprise全体では日本(asia-northeast1)などのロケーションも用意されていますが、利用には申請が必要です。個別のコネクタで選べる保存場所とは区別して考えましょう。データの保存地域に関する要件がなければ、Googleはglobalを推奨しています。
保存場所の指定やCMEK(利用者が管理する暗号鍵)による暗号化が及ぶのは、Gemini Enterprise側に保存されるデータです。Google ドライブなどGoogle Workspaceに保存されているデータの所在地は、Google Workspaceのデータリージョンの設定で確認します。
Businessエディションでは、データの保存場所(マルチリージョン)が、申し込み時に選んだ請求先の国にもとづいて自動で割り当てられます。
顧客のデータは、Googleや他のお客様のモデルのトレーニングにも、広告にも使われません(公式のよくある質問より)。
方式は検索対象・同期・保存容量から判断する
データ取り込みとフェデレーテッド検索のどちらがよいかは、一律には決まりません。次の観点で判断するのがおすすめです。
- 対応する方式があるか:接続先によっては一方の方式しかない(主要サービスの対応一覧を参照)
- 対象データの性質:表や画像を含む資料が多いか、テキスト中心か
- 更新や削除の反映:権限や内容の変更を、どの程度早く反映させたいか
- 保存容量:取り込むデータの量
たとえばOneDriveの公式ページは、表や多段組み、OCR(画像の文字を読み取る処理)が必要なPDFには取り込みを推奨しています。これはOneDrive固有の説明で、すべてのコネクタに共通する基準ではありません。
Standard/Plusでデータを取り込むと、ストレージとデータインデックスの枠を消費します。枠は同じプロジェクト・ロケーションの利用者全体でまとめて使う仕組みで、超えた分は自動的に従量課金の対象になります。エディションごとの枠の大きさや超過料金は、「Gemini Enterpriseの料金・プラン」の記事をご覧ください。
※検索文字列の送信・保存場所・容量の説明は、Businessの保存場所を除き、2026年10月30日時点のStandard/Plus向け公式資料にもとづきます。
出典:Introduction to connectors and data stores/Customer-managed encryption keys/Locations/Google Drive/Sign up for a free trial of Gemini Enterprise – Business edition(Business向けヘルプ)/Gemini Enterprise appに関するよくある質問/Microsoft OneDrive/Set up a Slack data store/Quotas and overages
Gemini Enterpriseのコネクタに関するよくある質問
Businessエディションでもコネクタを使えますか?
使えます。ただし、使える接続先はStandard/Plusより限られ、接続先によっては契約などの条件もあります。自社のサービスに対応しているかは、「主要サービスの対応一覧」の章で確認してください。
一覧にないシステムはつなげますか?
方法はあります。Standard/Plusでは、カスタムコネクタやカスタムMCPサーバー(Public Preview)で接続する選択肢があります。MCP(Model Context Protocol)は、AIと外部のツールをつなぐための共通の規格です。
Businessも、カスタムMCPサーバーの接続に対応しています(正式提供前のPre-GAの段階)。設定はチームの管理者が行い、接続するサーバーには、StreamableHTTPという通信方式への対応と、インターネットから接続できるHTTPSのURLが必要です。認証を使う場合は、認証基盤(IdP)もインターネットから接続できる状態にし、Gemini Enterpriseを認証用のアプリ(OAuthクライアント)として登録しておきます。どのシステムでも接続できるとは限らないため、接続の要件と設定方法は、エディションごとの公式ページで確認してください。
コネクタを使うと追加費用はかかりますか?
かかる場合があります。接続先サービス側では、SlackのSlack AI検索を含むプランのように、接続の前提になる契約が必要なことがあります。Gemini Enterprise側では、Standard/Plusでデータを取り込むと保存容量の枠を消費し、超えた分は従量課金の対象です。
条件の詳細は「主要サービスの対応一覧」と「データはどこに保存される?」の章で、枠の大きさや金額は「Gemini Enterpriseの料金・プラン」の記事で確認してください。
まとめ
Gemini Enterpriseのコネクタは、検索の方式(データ取り込みとフェデレーテッド検索)と、操作を行うアクションを分けて理解すると整理しやすくなります。
導入を検討するときは、まず「主要サービスの対応一覧」で自社のサービスと使えるエディションを確認し、「コネクタの設定の流れ」で必要な役割と依頼先を洗い出しましょう。そのうえで、権限の引き継ぎ、データの保存場所、検索文字列の送信先を確かめておくと判断しやすくなります。
※コネクタの対応状況は2026年10月30日時点の公式情報にもとづいています。コネクタの一覧は更新されることが多いため、導入前に各サービスの公式情報をご確認ください。
Gemini Enterpriseの導入やエディションの選び方を検討されている方は、ムームードメインの無料相談をご活用ください。ムームードメイン経由でGoogle Workspaceをご契約いただくと、Gemini Enterprise Businessを割引価格でご提供できます(割引の対象はBusinessエディションのみ)。こちらの無料相談窓口からお気軽にご相談ください。



