「Gemini EnterpriseとCopilotの違いがよく分からない」「自社にはどちらが合うのか」と迷っていませんか。名前の似た製品も多く、比べ方に迷いがちです。
本記事では、Gemini Enterprise(Businessエディション中心)と有料のMicrosoft 365 Copilot(Microsoft 365 Copilot Business中心)を、契約の前提・料金・社内データの検索と外部連携・使う画面とエージェント作成・セキュリティの5つの観点で比べます。自社に合うほうを選ぶ際の確認ポイントもあわせて紹介します。
※本記事の料金・契約条件は2026年10月時点の各社公式サイトの情報です。
Gemini EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotの違いを一覧で比較
まずは、2つの製品の違いを12項目の表で確認しましょう。
本記事で比べるのは、Googleの「Gemini Enterprise app」とMicrosoftの「Microsoft 365 Copilot」です。Gemini Enterprise appは、シート(利用者1人分の枠)単位で契約するサブスクリプション型のサービスです。開発者向けの「Gemini Enterprise Agent Platform」は別契約なので、混同しないよう注意してください。
Microsoft 365 Copilotは、現在は「Microsoft Copilot」に名称が変わっていますが、移行期間中は料金ページの商品名などに旧名称も使われています。本記事では販売名に合わせて「Microsoft 365 Copilot」と表記し、どちらも中小企業向けのエディション(Gemini Enterprise Business/Microsoft 365 Copilot Business)を中心に比べます。
| 項目 | Gemini Enterprise app | Microsoft 365 Copilot |
|---|---|---|
| 位置づけ | 社内外のデータに接続し、検索・チャット・エージェントで業務を支援する | Microsoft 365の業務データを使うチャットと、Word・Excelなど対応アプリ内での支援 |
| Google Workspace/Microsoft 365との関係 | Google Workspaceの契約がなくても申し込める。Microsoft 365のデータにも接続できる | 対象のMicrosoft 365などのライセンスが必要。そこにCopilotの利用権を追加して使う |
| 中小企業向けの料金 | Business:1シート月額21米ドルから(日本円の公開価格なし) | Copilot Business:1ユーザー月額相当3,148円(税別・年払い)。2026年12月31日までのキャンペーンで、対象の既存顧客は初年度のみ月額相当2,698円。前提ライセンスの料金は別途 |
| 大企業向けの料金 | Standard/Plus:営業担当者への問い合わせ | 1ユーザー月額相当4,497円(税別・年払い) |
| 人数・席数 | Business:1〜500ユーザー(製品ページは「300人までのチームに最適」と案内) | Copilot Business:1テナント(組織単位の契約環境)あたり300ユーザーまで |
| 社内データの検索 | 接続したGoogleや他社サービスのデータを、利用者の権限に沿って検索 | Microsoft Graph経由でMicrosoft 365の業務データを使い、利用者の権限に沿って表示 |
| 外部サービスとの連携 | 「100以上の統合」と案内。Businessで使えるのは一部のコネクタ | 「100を超える事前構築済みのコネクタ」と案内 |
| エージェント作成 | Business:Agent Designerでチャット型のエージェントを作り、定期実行・共有ができる | ライセンスを持つ利用者は、Copilot Studioで社内向けのエージェントを追加費用なしで作れる |
| 入力データの学習利用 | Googleや他の顧客のモデルのトレーニングに使わないと案内 | 基盤となる大規模言語モデル(LLM)のトレーニングに使わないと案内 |
| チャットの保持・管理 | Business:60日間保持(Businessのヘルプに保持期間の設定方法の記載はない) | 管理者がMicrosoft Purviewで保持ポリシーを設定できる |
| データの保存場所 | Business:請求先の国に応じたマルチリージョン。Standard/Plusは日本リージョンあり(利用にはGoogleへの連絡が必要) | Microsoftの契約条件に定めたデータ所在地の約束を適用 |
| 無料トライアル | Business:30日間(月契約で最大5席まで無料。年間契約に切り替えると試用は終了) | Copilot Business:1か月間(クレジットカードの登録が必要) |
※2026年10月30日に各社の公式サイトで確認した情報です。料金は税別・1ユーザー(1シート)あたりで、契約期間や割引の条件は「違い②料金と契約条件」で解説しています。統合数・コネクタ数は各社がそれぞれの基準で数えた案内値のため、件数どうしを比べることはできません。Gemini Enterpriseの無料トライアルの条件(請求書払いのCloud Billingアカウントを持たない場合の案内)は「Gemini Enterpriseの料金・プランを解説|エディション別の違いと選び方」で詳しく解説しているので、最新情報とあわせて各社の公式サイトもご確認ください。
※ムームードメイン経由でGemini Enterpriseを導入する場合、無料トライアルはありません。また、Google公式サイトの無料トライアルとムームードメイン経由の契約は別の環境となるため、トライアルで利用したチャット履歴やエージェントはそのまま引き継がれません。
Gemini Enterprise全体の機能や特徴は、「Gemini Enterpriseとは?何ができる?主な機能や特徴をわかりやすく解説」で解説しています。
次の4つは名前が似ていますが、本記事の比較対象には含みません。
| 製品・プラン | 内容 |
|---|---|
| Google Workspaceに含まれるGeminiアプリ | Google Workspaceの商用プランなどの契約者に、追加料金なしで提供されるAIアシスタント。違いは「Gemini EnterpriseとGoogle WorkspaceのGeminiの違いとは?」で解説 |
| 2024年に発表された「Gemini Enterprise」 | 2024年2月に発表された、Google Workspace向けの同じ名前のプラン。当時の価格は現行のGemini Enterprise appの料金ではない |
| Copilotのライセンスなしで使うCopilot Chat(Microsoft Copilot Chat) | 対象のMicrosoft 365を契約している組織で、追加費用なしで使えるチャット。Copilotのライセンスがあると、業務データの参照やアプリ内での利用などが加わる |
| GitHub Copilot | 開発者向けのコーディング支援サービス |
Gemini EnterpriseとCopilotはどちらを選ぶ?選ぶ際の3つのポイント
どちらを選ぶかを考えるときは、製品名よりも、社内で使っているオフィススイートが手がかりになります。オフィススイート(以下、スイート)とは、メール・文書作成・表計算などの業務アプリをまとめて提供するサービスのことで、Google WorkspaceやMicrosoft 365がこれにあたります。ここでは、スイートの契約から分かること、比べるときの確認順、両方のスイートを使う会社の整理の仕方を順に見ていきましょう。
スイートの確認で分かることと、業務ごとに判断すること
最初に確認したいのは、社内で使っているスイートがGoogle WorkspaceかMicrosoft 365かと、実際に契約しているプランです。スイートをこれから決める段階なら、先にGoogle WorkspaceとMicrosoft 365の選び方を解説した記事を読んでおくと、AIの比較に進みやすくなります。
スイートとプランが分かると、Microsoft 365 Copilotの対象ライセンスを持っているか、Copilotを使うために追加の契約が必要かが見えてきます。ただし、プランから分かるのはライセンス上の条件までなので、普段どのアプリや画面で作業しているかは、利用の実態として別に確認しておきましょう。
Microsoft 365を使っているからMicrosoft 365 Copilotに決まるわけではありません。Google Workspaceを使っている会社でも、対象となるMicrosoftの前提ライセンスを持っているか新たに契約すれば、Microsoft 365 Copilotは候補になります。Gemini EnterpriseはGoogle Workspaceの契約を前提としないため、どちらのスイートでも検討できます。どちらのAIを選ぶかは、接続したいデータや使う画面、管理の要件といった業務の条件で判断しましょう。Google Workspaceを使っている会社は、Google Workspaceに含まれるGeminiアプリで足りるかも先に確認しておくと、追加の契約が必要かを判断しやすくなります(違いは「Gemini EnterpriseとGoogle WorkspaceのGeminiの違いとは?」で解説しています)。
比較するときの確認順|データ・画面・自動化・管理要件・席数・費用
比べる項目が多くて迷う場合は、次の8項目の順に確認する方法があります。両社が公式に示している手順ではなく、各社の公式情報をもとに編集部が整理した順番です。
| 順番 | 確認すること |
|---|---|
| 1 | スイートと保有ライセンス |
| 2 | AIに接続したい社内データ・外部サービス |
| 3 | AIを使う画面(Word・Excelなどのアプリ内か、AIのチャット画面か) |
| 4 | 自動化したい業務と、必要なエージェント |
| 5 | セキュリティとデータの保存場所 |
| 6 | 利用する人数と契約できる席数 |
| 7 | 導入後の総費用と、今から増える費用(利用人数と契約期間をそろえて比べる) |
| 8 | 同じ資料・同じ業務で試して比べる |
1〜7の各項目は、このあとの「違い①〜⑤」で詳しく解説します。
データの保存場所や監査、利用人数に譲れない条件がある会社は、順番にこだわらず、その項目から確認してください。条件を満たさない製品を先に候補から外せるため、比較の手間を抑えやすくなります。
両方のスイートを使う会社は、部署・業務・利用者ごとに整理する
部署によって、Google WorkspaceとMicrosoft 365を使い分けているケースもあります。この場合は、会社全体で一方に決める前に、部署ごとの契約・扱うデータ・普段の作業画面を整理しておきましょう。そのうえで利用者と業務を絞って比べると、判断の材料をそろえやすくなります。
Gemini EnterpriseはMicrosoft 365のデータにも接続できるため、スイートを切り替えずに検討を始められます。一方、Microsoft 365 Copilotもコネクタを使えば外部サービスのデータを検索対象にできるので、他社のサービスとつなげられるかどうかだけでは差がつきません。
違い①契約の前提|Gemini EnterpriseはGoogle Workspace不要、Microsoft 365 Copilotは対象ライセンスが必要
1つめの違いは、契約するために何が必要かという前提です。今の契約のまま使えるのか、何を追加すればよいのかを、製品ごとに確認しましょう。
Gemini Enterprise appは単体で契約でき、Microsoft 365にも接続できる
Gemini Enterprise appは、Google Workspaceの契約がなくても申し込めるサブスクリプションです。Businessエディションは、Googleの公式サイトで仕事用のメールアドレスを使ってアカウントを作ればオンラインで申し込め、製品ページでは「ITのセットアップは不要」と案内されています。
単体での申し込みのほかに、Google Workspaceのサブスクリプション経由で導入する方法も用意されています。
接続先には、Outlook・Teams・OneDrive・SharePointといったMicrosoft 365のサービスも含まれます。とはいえ、Gemini Enterpriseを契約すれば接続先のサービスも使えるようになるわけではありません。接続先のサービスの契約とアカウントは別に必要です。Businessでは、管理者がアクセスを許可したコネクタだけを利用者が自分のデータにつなげる仕組みなので、導入時は管理者側の設定もあわせて確認しましょう。
ムームードメインでGemini Enterpriseを導入する場合は、Google Workspaceのオプションとして追加する形です。対象はGoogle Workspaceを利用中、または新しく導入する法人・個人事業主で、ムームードメインでのGoogle Workspaceとのセット契約が前提になります。Google直接やほかの代理店でGoogle Workspaceを契約している場合はムームードメインへの移管が必要です。ライセンス数によっては移管が現実的でない場合もあるので、自社に合う導入の進め方は無料のオンライン相談でお気軽にご相談ください。
Microsoft 365 Copilotは対象ライセンスとCopilotの利用権が必要
Microsoft 365 Copilotを使うには、対象となるMicrosoft 365などのライセンス(前提ライセンス)と、Copilotのライセンスの両方が必要です。日本の料金ページでも、購入には条件を満たすエンタープライズまたは一般法人向けプランが必要と案内されています。
中小企業向けのCopilot Businessで前提ライセンスになるのは、Microsoft 365 Business Premium/Business Standard/Business Basic、Microsoft 365 Apps for business、Microsoft Teams Essentialsの5つです(Microsoft Learn「License options」)。Copilot Businessはこれらに追加するアドオンで、Business StandardまたはBusiness PremiumとCopilot Businessを組み合わせたセット商品も販売されているので、これから導入する場合はあわせて比べてみてください。大企業向けではMicrosoft 365 E3・E5などが前提ライセンスの対象となり、Microsoft 365 E7のようにCopilotを含むプランもあります。
Google Workspaceを中心に使う会社でも、Teams Essentialsなど対象のMicrosoftライセンスを併用していれば、Microsoft 365 Copilotの契約候補になります。一方、Google Workspaceだけを契約している場合は、Microsoft 365 Copilotの前提条件を満たしません。
購入できる条件と、各アプリで機能を使える条件を分けて確認する
前提ライセンスはCopilotを購入するための条件で、すべてのアプリでCopilotが使えることまでは意味しません。Microsoft Learn「Microsoft Copilot requirements」では、使う機能ごとに次のような条件が案内されています。
| 使いたい機能 | 必要な条件 |
|---|---|
| Word・Excelなどデスクトップアプリ内のCopilot | Microsoft 365 Appsの導入 |
| メール・予定表・会議などメールボックスのデータを使う機能 | Exchange Onlineのメールボックス |
| Teams会議の内容を会議後に参照する機能 | 文字起こしまたは録画の設定 |
必要なアプリやサービスが契約に含まれているかに加えて、アプリの導入や会議の文字起こし・録画など、管理者側の設定が済んでいるかも分けて確認しましょう。
違い②料金と契約条件|既存契約への追加費用と、新規導入の費用を分ける
2つめの違いは料金のしくみで、今の契約にAIを足す場合と、スイートごと新しく導入する場合では、費用の組み立てが変わります。ここでは各製品の料金と契約条件を確認したうえで、ケース別の費用の構成を整理していきましょう。
Gemini Enterprise Businessは1シート月額21米ドルから|月契約と年間契約がある
Gemini Enterprise Businessの公開価格は、1シートあたり月額21米ドルからです。公式サイトに日本円の価格は表示されていないため、請求の通貨や単価、支払い条件は購入画面で確かめてください。
契約期間には、月契約と年間契約の2種類があります。請求書払いのCloud Billingアカウント(Google Cloudの請求用アカウント)を持たない利用者向けのヘルプでは、それぞれ次のように案内されています。
- 月契約:30日周期
- 年間契約:12か月の契約期間で、割引された料金を毎月請求。契約期間が終わるまで月契約には戻せない
どちらの契約も、支払い方法への請求は原則として毎月1日に前月分がまとめて行われます。年間契約は「年払い」ではなく割引料金を月ごとに支払う形で、月契約との単価の差は公開されていません。Standard/Plusについては、公式FAQが営業担当者への問い合わせを案内しているので、エディションごとの料金や利用上限は「Gemini Enterpriseの料金・プランを解説|エディション別の違いと選び方」をご覧ください。
Microsoft 365 Copilot Businessは契約期間・割引条件で料金が変わる
Microsoft 365 Copilot Businessの料金は、契約期間と支払い方法によって次のように変わります(日本の料金ページ、税別・1ユーザーあたり)。
| 契約・支払い | 料金 |
|---|---|
| 年間サブスクリプション・年払い | 月額相当3,148円 |
| 年間サブスクリプション・年払い(キャンペーン) | 月額相当2,698円(2026年7月1日〜12月31日のキャンペーン。対象のビジネスプランを使う既存のMicrosoft 365顧客のみ、初年度のみ) |
| 月間サブスクリプション・月払い | 月額3,778円 |
キャンペーン価格は試用版には適用されず、年間サブスクリプションは自動で更新されます。最終的な契約条件は購入画面で確認しましょう。
一部の高度なAI機能は、ライセンス料金とは別に使用量に応じて課金されます(料金ページの注記)。大企業向けのMicrosoft 365 Copilotは1ユーザー月額相当4,497円(税別・年払い)で、対象のMicrosoft 365プランのライセンスが別途必要です。
ケース別に必要な契約と費用の構成を確認する
AIにかかる費用は、今使っているスイートを続けるか、新しく導入するかで組み立てが変わります。代表的な4つのケースを整理しました。
| ケース | 必要な契約と費用 | 確認したい条件 |
|---|---|---|
| Microsoft 365を続けて、Copilot Businessを追加 | 今のMicrosoft 365+Copilot Business(料金は上の表のとおり) | 今のプランが前提ライセンスの対象か。キャンペーン価格の条件に当てはまるか |
| Microsoft 365を続けて、Gemini Enterpriseを追加 | 今のMicrosoft 365+Gemini Enterprise Business(1シート月額21米ドルから) | 接続できるMicrosoft 365のサービスと、管理者側の設定。請求の通貨と金額 |
| Google Workspaceを続けて、Gemini Enterpriseを追加 | 今のGoogle Workspace+Gemini Enterprise Business(1シート月額21米ドルから) | 直接申し込むか、Google Workspace経由で導入するか(契約条件の扱いが異なる) |
| 新しくMicrosoft 365とMicrosoft 365 Copilotを導入 | セット商品:Business Standard+Copilot Business 月額相当3,523円/Business Premium+Copilot Business 月額相当4,797円(いずれも年間サブスクリプション・年払い。月間サブスクリプション・月払いは4,228円/5,756円) | セット商品は、単品を組み合わせた場合と割引などの条件が異なる場合がある |
※料金は税別・1ユーザー(1シート)あたりで、2026年10月30日に各社の公式サイトで確認しました。円と米ドルは為替や請求条件で変わるため、合計額は出していません。
利用人数の条件|想定する組織規模と契約できる席数を区別する
Gemini Enterprise Businessは、エディション比較表では契約できる席数が1〜500ユーザー、製品ページとFAQでは想定するチームの規模が「300人まで」と案内されています。300〜500人規模の会社は、申し込み画面で上限を確かめてください。Businessでできることや利用上限は「Gemini Enterprise Businessとは?機能・利用上限・向いている企業をわかりやすく解説」で解説しています。
Microsoft 365 Copilot Businessは1テナントあたり300ライセンスユーザーまでで、300人を超える組織には大企業向けのMicrosoft 365 Copilotが案内されています。
違い③社内データ検索と外部連携|両社とも他社サービスのデータを活用できる
3つめの違いは、AIが社内のどのデータを読んで答えるかです。どちらも他社サービスのデータにつなげられるので、つなげるかどうかより、つなぎ方と確認の仕方に注目しましょう。
Gemini Enterpriseは接続した社内データを共通の画面から検索する
Gemini Enterpriseは、Google Workspaceや他社サービスなど接続したデータソースを、1つの画面から横断して検索できます。接続の方式には、検索用にデータを取り込む(インデックス化する)方法と、データを取り込まずに接続先から直接取得する方法があり、アクセス権限に沿った企業内検索はどのエディションでも利用できます。
使えるコネクタの範囲はエディションによって異なり、BusinessではMicrosoft 365・Google Workspace・Jira・GitHub・HubSpot・Slackなど一部のコネクタ、Standard/Plusではコネクタ全体を利用できるので、自社で使うサービスが含まれるかを確認してみてください。
Microsoft 365 CopilotはMicrosoft 365の業務データと外部コネクタを活用する
Microsoft 365 Copilotは、Microsoft 365の業務データにアクセスするための仕組みであるMicrosoft Graphを通じて、メール・チャット・ファイル・会議などMicrosoft 365の業務データを回答に使います。Copilotアプリでは、業務データを参照するかを「Work IQ」のボタンで切り替えられ、Copilotのライセンスを持つ利用者は初期設定でオンになっています(※画面構成は2026年10月時点のものです)。
Microsoft 365以外のデータにはCopilotコネクタでつなげられ、Microsoftとパートナーが100を超える事前構築済みのコネクタを提供しています。Box・Confluence・Googleのサービス・Salesforce・ServiceNowなどにも対応しており、Microsoft 365の中だけを検索するAIではない点も押さえておきましょう。
対応サービス名だけでなく、必要な検索・操作とアクセス権限を確認する
「100以上の統合」「100を超えるコネクタ」は、各社がそれぞれの基準で数えた案内値です。件数の多さで比べるより、自社で使っているサービスにつながるかと、つないだうえで何ができるかを確認しましょう。検索して読むだけでよいのか、データの更新やメールの送信まで任せたいのかによって、確かめる項目は変わります。
両社とも、AIが表示するのは利用者がもともとアクセスできるデータの範囲です。Gemini Enterpriseは各ユーザーの既存の権限に従うと案内しており、Microsoft 365 Copilotも利用者が閲覧権限を持つデータだけを表示するとしています。コネクタを追加しただけで接続先のデータがまとめて検索対象になるわけではないので、どのデータを取り込み、誰が見られるようにするかを導入前に整理しておきましょう。
違い④使う画面とエージェント作成|日常業務での使い方と追加費用を比べる
4つめの違いは、AIを普段どの画面で使うかと、業務を任せるエージェントをどこまで作れるかです。追加費用がかかる範囲もあわせて確認しましょう。
Microsoft 365 Copilotは対応アプリ内とCopilotの画面で使う
Microsoft 365 Copilotの特徴は、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsといった普段のアプリの中で使えることです。たとえばTeamsならチャットや通話の内容から最新の状況を確認でき、アプリの外ではCopilotのチャット画面から業務データを典拠にした質問をしたり、調査やデータ分析向けの構築済みエージェントを使ったりできます。
アプリごとに必要な条件は「違い①契約の前提」で紹介しています。
Gemini Enterpriseはチャットを中心にCanvas・Gemini Notebookを使う
Gemini Enterpriseは、1つのチャット画面を起点に、検索・回答・資料作成を進める使い方が中心です。Businessエディションでは、次のような機能が案内されています。
- Canvas:チャット画面の中で文書やスライドを作り、そのまま編集や書式の調整ができるワークスペース。Microsoft 365やGoogle Workspace形式の文書も編集できる
- Gemini Notebook:PDF・Word・Googleドキュメント・Web URLなど最大300件の社内資料をまとめ、資料に基づいて答えるノートブックを作れる
- Deep Research:Webや社内データを幅広く調べ、出典つきのレポートを作る構築済みエージェント
使い方の一例として、同じ業務での作業の流れを比べると次のようになります。
| 業務の例 | Microsoft 365 Copilot | Gemini Enterprise |
|---|---|---|
| 提案書のたたき台を作る | WordやPowerPointを開き、アプリ内のCopilotに依頼する | チャットで依頼し、Canvasで文書やスライドに仕上げる |
| 社内資料をもとに質問に答える | Copilotの画面で、業務データを典拠に質問する | チャットで接続済みのデータを検索して質問する。参照する資料を絞りたい場合はGemini Notebookにまとめる |
Workflow BuilderとCopilot Studioは、作りたい処理と利用条件で比較する
エージェント作成には両社とも対応していますが、ライセンスに含まれる範囲が異なります。
Google側のエージェント作成機能は、資料によって呼び名が違います。Businessの製品ページでは「Workflow Builder」、Businessのヘルプでは「Agent Designer」と書かれています。Businessでは、自然言語の指示からチャット型のエージェント(単体、またはサブエージェントを組み合わせた構成)を作り、画面上で流れを編集したり、定期実行やチーム内での共有を設定したりできます(Businessのヘルプ、2026年10月22日更新)。
一方、トリガー(実行のきっかけ)・条件分岐・承認・実行履歴を備えた「ワークフロー」の作り方は、Standard/Plusなど向けのドキュメントで案内されており、Businessのヘルプには記載がありません。条件分岐や承認、実行履歴の確認が必要な業務を自動化したいなら、Business以外のエディションも含めて確認してください。Workflow Builderの提供段階も、リリースノート(2026年9月3日)では一般提供(GA)、エディション比較表ではプレビューと、資料によって表記が分かれています。
Microsoft 365 Copilotのライセンスを持つ利用者は、Copilot Studioで社内向けのエージェントを追加費用なしで作成・利用できます。Webサイトやアプリなど外部のチャネルに公開する場合は、単体のCopilot Studioのライセンスが別途必要です。一部の高度なAI機能は使用量に応じた課金になるため、使いたい機能の料金条件も確認しておきましょう。
違い⑤セキュリティ・データの扱い・日本語対応
5つめの違いは、社内の情報を入力するときに気になるデータの扱いと、日本語での使い勝手です。学習利用・保存・保存場所・日本語対応の4点を順に確認しましょう。
学習利用|両社とも基盤モデルの学習に使わないと案内している
Googleは、Gemini Enterprise appのBusiness・Standard・Plusについて、プロンプトや出力などのデータをGoogleや他の顧客のモデルのトレーニングに使わず、第三者への販売や広告にも使わないと案内しています。Microsoftも、プロンプト・応答・Microsoft Graph経由のデータを、基盤となる大規模言語モデルのトレーニングに使わないと明記しています。
ただし、学習に使わないことと保存されないことは別で、この説明は法人向けの両製品についてのものです。他社のエージェントや接続先のサービスを使う場合は、それぞれの利用規約やプライバシーポリシーも確認しておきましょう。
保存・保持|履歴の保存期間と管理者が変更できる範囲を確認する
チャットの履歴がどう保存され、管理者がどこまで設定できるかは、次のように整理できます。
| 項目 | Gemini Enterprise Business | Microsoft 365 Copilot |
|---|---|---|
| 保存・保持 | 契約中のチャットは60日間保持。解約後も60日間保持され、アカウントを削除した場合は60日以内に消去 | プロンプトと応答は保存され、暗号化される。利用者は自分の履歴を削除できる |
| 管理者が設定できる範囲 | 保持期間を設定する機能は、Standard/Plus向けのドキュメントで案内(Businessのヘルプには記載なし) | Content searchやMicrosoft Purviewで確認・管理でき、Purviewで保持ポリシーを設定できる |
Microsoft側は保持ポリシーの設定によって保存期間が変わるため、一律の期間では比べられません。Gemini Enterpriseの詳しいしくみは「Gemini Enterpriseのセキュリティは安全?データ保護の仕組みや認証・注意点を解説」をご覧ください。
データ所在地|保存場所と処理場所、利用条件を分けて確認する
データの所在地は、データを保存する場所と、AIが処理する場所に分けて見る必要があります。
Gemini Enterprise Businessは、申し込み時に選んだ請求先の国に応じて、マルチリージョン(複数の地域にまたがる保存先)が自動で割り当てられます。請求先が日本でも、日本国内に限った保存先になるとは案内されていません。Standard/Plusでは日本(asia-northeast1)などの国内リージョンを指定でき、基本の機能は保存と処理の両方が国内リージョンの対象になります。ただし、一部のモデルなどは国内リージョンで使えず、許可リスト方式のため利用にはGoogleのアカウントチームへの連絡も必要です。条件の詳細は「Gemini Enterprise Standardとは?含まれる機能・利用上限・向いている企業を解説」を参考にしてください。
Microsoft 365 Copilotは、Microsoft Product Termsとデータ保護補遺(DPA)に定めたデータ所在地の約束を守るとしています。一方で、AIの処理は混雑時にほかの地域のデータセンターを使う場合があり、EU外の顧客のクエリは米国・EU・その他の地域で処理される場合があると案内されています。
どちらも、すべての機能で日本国内に処理が限られるとは案内していません。所在地に要件がある会社は、保存場所と処理場所の両方を契約条件で確かめてください。
日本語対応|公式の対応情報と、業務で使えるかを確認する
Microsoft 365 Copilotは、サポート言語の公式ページ(2026年9月更新)で、職場・学校のアカウント向けの対応言語に日本語が含まれています。ただし、新機能はすぐに全言語で使えるとは限らないと書かれています。
Gemini Enterpriseも日本語で利用でき、日本語の製品ページも用意されています。ただし、Microsoftのような対応言語の一覧にあたる公式ページは、Gemini Enterprise appについては見当たりませんでした。導入を決める前に、自社の日本語の資料や社内用語、固有名詞を使って、回答の精度を確かめてみてください。
Gemini EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotの違いに関するよくある質問
Microsoft 365を使っていてもGemini Enterpriseを使えますか?
使えます。Gemini EnterpriseはGoogle Workspaceの契約を前提としないサブスクリプションで、Outlook・Teams・OneDrive・SharePointなどMicrosoft 365のサービスにも接続できます。ただし、接続先の契約やアカウント、管理者による設定が必要になるため、つなぎたいサービスと使いたい操作を事前に確認してください。
Google Workspaceを使っている会社でもMicrosoft 365 Copilotを契約できますか?
Teams Essentialsなど、Copilot Businessの前提ライセンスになるMicrosoftのプランを契約していれば、契約の候補になります。Google Workspaceだけを契約している場合は、前提条件を満たしません。前提ライセンスがあっても、使いたい機能によってはExchange OnlineのメールボックスやMicrosoft 365 Appsが必要になる点に注意しましょう。
まとめ
Gemini EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotは、契約の前提と料金のしくみが大きく異なります。Gemini EnterpriseはGoogle Workspaceの契約がなくても申し込める一方、Microsoft 365 Copilotには対象のMicrosoft 365などの前提ライセンスが必要です。
両社とも他社サービスとの連携やエージェント作成に対応しているため、まずは今使っているスイートと保有ライセンスを確認し、接続したいデータや使う画面、総費用で比べてみてください。
Gemini Enterpriseの導入を検討されている方は、ぜひムームードメインの無料相談をご活用ください。ムームードメイン経由でGoogle Workspaceをご契約いただくと、Gemini Enterprise Businessを割引価格でご提供できます(割引の対象はBusinessエディションのみ)。日本円でのお見積もりにも対応していますので、こちらの無料相談窓口からお気軽にご相談ください。



