Gemini Enterpriseでエージェントを作成しようと調べると、Agent Designer、Workflow Builder、ADKと名前が次々に出てきて、どれが自社に関係するのか迷っていませんか。
本記事では、エージェントを用意する3つの方法の違いと自社にあう選び方、作る前の準備、共有するときの注意点を解説します。画面の操作手順には踏み込まず、方法を選ぶための判断材料に絞りました。
※本記事の情報は2026年10月28日時点のものです。最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。
Gemini Enterpriseのエージェント作成とは?3つの方法と自社に合う選び方
Gemini Enterpriseのエージェント作成には、いくつかの経路があります。この章では、公式の分類と本記事の3つの方法の関係を整理し、自社がどこから始めるかを判断表で決められるようにします。製品全体の概要は「Gemini Enterpriseとは?何ができる?主な機能や特徴をわかりやすく解説」をご覧ください。
公式の3分類|Google製・組織の利用者が作るもの・組織が登録するカスタムエージェント
Google Cloudの公式ドキュメントでは、Gemini Enterpriseのエージェントを次の3種類に分けています。
- Google-made agents(Google製のエージェント):Googleが用意するもの。テーマを深く調べるDeep Researchなど
- Employee-made agents from your organization(組織の利用者が作るエージェント):組織の利用者がWorkflow Builderで作るもの
- Custom agents from your organization(組織が登録するカスタムエージェント):ADK(開発用のツール)やA2A(エージェント同士をつなぐ通信の仕組み)、Dialogflowなどで用意したエージェントを、管理者が登録したもの
カスタムエージェントは自組織で内製したものに限らず、Google Cloud以外の環境で動かしているA2Aエージェントも、管理者が登録すればこの分類に入ります。Agent Galleryは4つ目の分類ではなく、これら3種類を探して使うための入口です。
エージェントを用意する3つの方法|使う・ノーコードで作る・開発して登録する
本記事では、自社がエージェントを「どう用意するか」という経路で、方法を3つに分けます。
| 方法 | 主な担い手 | コードの要否 | Agent Galleryに並ぶ種類との対応 |
|---|---|---|---|
| 方法1:用意済み・共有済みを使う | 利用者 | 不要 | 3種類すべて。Marketplaceのパートナー製は、管理者が利用を許可したもの |
| 方法2:ノーコードで作る | 利用者(管理者の設定が前提) | 不要 | 組織の利用者が作るエージェント |
| 方法3:開発して登録する | 開発者+管理者 | 必要 | 組織が登録するカスタムエージェント |
公式の分類は作り手と用意のしかた(Workflow Builderで作るか、管理者が登録するか)で分けた区分で、本記事の「自社がどう用意するか」という分け方とは一対一に対応しません。方法2や方法3で用意したエージェントも、共有や登録が済み、利用が許可されていれば方法1と同じAgent Galleryから使えます。
まず既製や共有済みを探し、足りなければノーコード作成・コード開発を検討する
開発の体制がない組織には、まず既製や共有済みのエージェントを探し、足りなければノーコードで要件を満たせるかを確かめる進め方が現実的です。それでも満たせない処理・認証・制御の要件がある場合に、コード開発を検討します。
| 選択肢 | 向く業務の例 | 判断の目安 | 提供条件(エディション・権限) |
|---|---|---|---|
| 方法1:使う | 調査・要約、部署で手順をそろえた業務 | 用意済み・共有済みのもので足りるか | Marketplaceは、Businessは対象外(公式のエディション比較による) |
| 方法2:ノーコードで作る | 社内FAQ・相談窓口(チャットエージェント)、確認・通知・定期レポート(ワークフロー) | 既存の接続手段で要件を満たせるか | Businessはチャットエージェントのみ(※)。作成する人の役割の確認が必要 |
| 方法3:開発して登録する | 既存の機能で満たせない処理・認証・制御が要る業務 | エージェントを動かす環境(ホスト)を維持・保守できる体制があるか | 外部で開発したフルコードエージェントの利用は、Businessは対象外(公式のエディション比較による) |
※Businessで作成できるのは、2026年10月時点の画面ではチャットエージェントまでです。条件分岐や承認を含むワークフローは、Standard/Plusなどの機能です。
※向く業務の例と判断の目安は編集上の整理です。
独自のAPI(外部からサービスを操作するための窓口)や既存システムとつなぎたい場合も、それだけでコード開発が必要と決めつけないようにしましょう。Standard/Plusなどでは、Workflow BuilderからGoogle・サードパーティ・カスタムのデータソースに接続でき、既存のADK・A2Aエージェントをワークフローの工程として組み込むこともできます。ただし、使える接続先やツールは管理者が用意した範囲に限られるため、必要な接続手段を用意できるかを管理者に確認しましょう。なお、Businessエディションで利用者の役割のまま作成できるかは環境によって異なるため、「エディションでどこまで違う?作れるエージェントと1日の作成数」もあわせて確認してください。
出典:Agents overview、Workflow Builder overview、Add an existing agent step
方法1|Agent Galleryで用意済み・共有済みのエージェントを使う
作らずに使う方法を選ぶなら、まずAgent Galleryを開いてみましょう。Gemini Enterpriseのウェブアプリで「Agents」を選ぶと開き、エージェントを探す・実行する・整理する画面として使えます。All、Pinned、Made by Google、From your organization、Your agents、Marketplaceの6つのフィルタで絞り込めるほか、「+ New agent」から方法2のWorkflow Builderを開くこともできます。
※画面構成は、2026年10月時点のStandard/Plusなど向けの公式ドキュメントにもとづきます。使える区分はエディションや管理者の設定によって異なり、UI変更により配置が変わる場合もあります。
Made by Google|Deep Researchなど、用意済みのエージェント
Made by Googleには、Googleが用意したエージェントが並びます。公式ページでは、Deep Research、Gemini Notebook Enterprise、Co-Scientistが例に挙がっています。調べ物や要約を任せたい場合は、作る前にここで使えるものがないかを確認してみましょう。
From your organization|組織内で共有されたエージェント
From your organizationには、組織内の利用者や管理者が共有したエージェントが並びます。方法2で作られたものや、方法3で管理者が登録したカスタムエージェントも、共有や登録が済み、自分に利用が許可されていればここから使えます。部署や組織全体で手順をそろえたい業務では、誰かが作ったエージェントを共有して使うと、各自が作り直す手間を省きやすくなるでしょう。
Marketplace|パートナー製は申請し、管理者が審査・調達して利用を許可する
Marketplaceは、Google Cloud Marketplaceで提供されるパートナー製のA2Aエージェントを探す区分です。自由にインストールできるアプリストアとは異なり、Standard/Plusなどでは次の流れで利用を始めます。
- ステップ1:利用者がエージェントのカードを開き、「Request access」で管理者に利用を申請する
- ステップ2:管理者が申請を審査し、未調達のエージェントであればCloud Marketplaceから調達する
- ステップ3:管理者が、必要に応じてアプリへの組み込み(Integrate & grant access)を行い、利用者にアクセス権を付与する
- ステップ4:利用者のFrom your organizationにエージェントが表示される
承認するだけで、調達やアプリへの組み込みまで済むわけではありません。管理者がMarketplaceからA2Aエージェントを追加する機能は2025年12月に、利用者の申請機能は2026年4月に、それぞれPreview(一般提供前の先行提供)として始まりました。管理者向けの手順のページは2026年10月時点でもPreviewと表記されているため、提供内容やサポートの範囲が変わる場合がある点も意識しておきましょう。
出典:Browse agents with Agent Gallery、Add and manage A2A agents from Google Cloud Marketplace、Gemini Enterprise release notes
方法2|組織の利用者がWorkflow Builder(旧Agent Designer)でノーコード作成する
Workflow Builderは、Google Cloudの公式ドキュメントで「チャットエージェントとワークフローを作成・管理・有効化するための、ノーコード・ローコードのプラットフォーム」と説明されている機能です。2026年9月3日のリリースノートで旧称のAgent Designerを併記して一般提供(GA)が告知された一方、Businessエディションの公式ヘルプでは、2026年10月時点でもAgent Designerの名称が使われています。
ここでは、エージェントの作り方のうち、何が作れるかと、どこから作り始めるかまでを見ていきましょう。
※この章の説明は、Standard/Plusなどを対象にしたGoogle Cloud側の資料を基準にしており、Businessエディションにそのまま当てはまるとは限りません。2026年10月時点のBusinessの画面で作成できるのはチャットエージェントまでで、ワークフロー(条件分岐や承認などの工程を組む、複数ステップの処理)は、Standard/Plusなどの機能です。
チャットエージェントとワークフローで、任せる仕事が異なる
Workflow Builderで作れるのは、チャットエージェントとワークフローの2種類です。
チャットエージェントは、利用者と会話しながら特定の仕事を進めるエージェントです。質問の内容に応じて必要な情報を返せるため、社内の問い合わせ窓口や規程のFAQに向いています。一方で応答は入力によって変わり、公式資料でも主に非決定的(同じ入力でも同じ答えになるとは限らない)と説明されているため、答えをそろえたい用途では動作確認を丁寧に行いましょう。
ワークフローは、決めた工程に沿って処理を進めるエージェントです。手動・スケジュール・イベント(接続先のデータの変化)のいずれかをきっかけ(トリガー)に始まり、途中に人の確認や情報の入力を挟めます。申請内容の確認と通知、定期レポートの作成など、手順が決まっている業務に使うとよいでしょう。
Businessエディションで、条件分岐や承認を含む業務の流れまで自動化したい場合は、Standard/Plusなどのエディションもあわせて比較してみてください。
自然言語・ビジュアルエディタ・テンプレートから作り始める
チャットエージェントは、作りたいことを文章で伝えると、名前や指示、接続先を含む初期版が作られ、プレビューで確かめてから公開する流れで作ります。Standard/Plusなどのワークフローでは、次の3つの方法で作り始められます。
- 自然言語:作りたいものを文章で伝え、たたき台を生成する
- ビジュアルエディタ:画面上で工程やつながりを直接組み立てる
- テンプレート:よくある業務向けのひな形から始める
このうちテンプレートはワークフロー向けの入口で、3つの入口がチャットエージェントにも同じ形で当てはまるわけではありません。実際に使える入口は、自社の画面と公式ヘルプで確認してください。
自然言語で生成したたたき台が、そのまま完成品になるとは限らない点にも注意が必要です。公式の既知の問題には、自然言語から作ったワークフローが実行できない場合があると記載されています。生成後に内容を調整し、プレビューで動作を確かめる前提で計画しましょう。
出典:Workflow Builder overview、Chat agent overview、Workflows overview、Known issues、Create and manage agents using Agent Designer
方法3|開発したカスタムエージェントを管理者が登録する
方法3は、開発者がコードで作ったエージェントを、管理者がGemini Enterpriseに登録して利用者に届ける経路です。実装は開発者の担当になるため、ここでは開発者と管理者がそれぞれ何を担うかに絞って整理します。
ADKで開発し、Agent Runtimeでホストして登録する
代表的なのが、ADK(Agent Development Kit)で開発し、Agent Runtimeでホストして、Gemini Enterpriseに登録する流れです。
- ADK:エージェントを開発するためのフレームワーク(開発者が担当)
- Agent Runtime:Gemini Enterprise Agent Platform上で、エージェントを動かす実行環境(開発者が担当)
- Gemini Enterpriseへの登録:利用者がウェブアプリから使えるようにする設定(管理者が担当)
公式の登録手順では、Gemini Enterprise Adminのロール、Discovery Engine APIの有効化、既存のGemini Enterpriseアプリ(管理者がGoogle Cloud上で用意した利用環境)、Agent Runtime上のADKエージェントの4つが前提として挙げられています。登録はGoogle CloudコンソールまたはREST APIで行い、Agents CLIからも登録できます。これらの準備状況は、開発担当と管理者で事前に確認しておきましょう。
押さえておきたいのは、登録後もAgent Runtime上でエージェントをホストし、保守し続ける必要があることです。公式ページにも明記されており、開発して終わりではなく、ホストと保守を担う担当者や委託先を決め、運用を続ける体制を整えておく必要があります。
古い記事や資料では、ADKエージェントのホスト先が「Vertex AI Agent Engine」と書かれている場合があります。2026年10月時点の公式ドキュメントでは、ADKエージェントのホスト先は「Agent Runtime」と表記されています。
A2A・Dialogflowなどのエージェントも登録できる
ADKのほかにも、管理者が登録できるエージェントがあります。ADKは開発用のフレームワーク、A2Aはエージェント同士をつなぐ通信の約束事(プロトコル)、Dialogflowは会話エージェントを作るGoogle Cloudの製品で、同じ種類のツールではありません。
- A2A(Agent2Agent)エージェント:A2Aプロトコルに沿って実装したもの。Google Cloud以外の環境で動かしているものも登録でき、登録後もホストと保守を続ける必要がある
- Dialogflowエージェント:デプロイ済みのDialogflowの会話エージェントを、カスタムエージェントとして登録する
- Agent Registry経由のA2Aエージェント:A2Aエージェントを一元管理するカタログ(Agent Registry)から、管理者がアプリに取り込む
A2AとDialogflowの登録機能は2026年10月時点でPreviewのため、提供内容が変わる場合があります。登録は、いずれもGemini Enterprise Adminのロールを持つ管理者が行います。
開発を選ぶ目安と、セキュリティ設定の注意
既製のエージェントやMarketplace、Workflow Builderの接続手段のいずれでも満たせない処理・認証・制御の要件がある場合は、開発を検討するとよいでしょう。社内独自の認証を通したい、例外時の動きを細かく制御したい、といった要件が当てはまります。
セキュリティ面で注意したいのが、Model Armor(プロンプトや応答を検査するGoogle Cloudのセキュリティ機能)の扱いです。Gemini Enterpriseのコンソールで設定したModel Armorは、ADKエージェントやA2Aエージェント、Marketplace経由のエージェントには自動で適用されません。開発者がアプリケーションコード側で設定する必要があるため、開発を依頼するときに対応の有無を確認しておきましょう。
登録1件ごとに、1日あたりの作成・登録の枠を1件分消費する点も押さえておきましょう。データ保護や認証の仕組みは「Gemini Enterpriseのセキュリティは安全?データ保護の仕組みや認証・注意点を解説」で解説しています。
出典:Register and manage ADK agents hosted on Agent Runtime、Register and manage A2A agents、Register and manage Dialogflow agents、Import A2A agents from Agent Registry、Add and manage A2A agents from Google Cloud Marketplace、Gemini Enterprise release notes
エディションでどこまで違う?作れるエージェントと1日の作成数
エージェントを作成・利用できる範囲は、契約しているエディションと、個人に与えられた役割で決まります。この章では、エディションごとの機能、1日あたりの作成・登録の枠、Businessエディションの役割を確認します。
Business・Standard・Plusなどで使えるエージェント関連機能
Google Cloudが公開しているエディション比較のうち、エージェントに関係する機能をまとめると次のとおりです。
| 機能 | Business | Standard | Plus | Pay-as-you-go(従量課金制) | Frontline |
|---|---|---|---|---|---|
| ノーコードツールでカスタムエージェントを作成・公開する(preview) | ○ | ○ | ○ | ○ | ― |
| ノーコードツールで作成されたカスタムエージェントを利用する(preview) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 外部で開発した独自のフルコードエージェントを利用する | ― | ○ | ○ | ○ | ○※ |
| Agent Marketplaceにアクセスする | ― | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Deep Research(Made by Google)を利用する | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
- 「―」は、公式のエディション比較で対象に含まれていない機能です
- ※Frontlineで使えるのは、管理者が割り当てた既存のエージェントに限られます
- ○の機能も、実際に使えるかは個人の役割や管理者の設定によって変わります
- Businessで作成できるのは、2026年10月時点の画面ではチャットエージェントまでです(ワークフローは含みません)
- Frontlineを検討する場合は、使いたいGoogle製のエージェント(Deep Researchなど)が契約する環境で使えるかを、契約前に確認してください
エディションごとの特徴は、「Gemini Enterprise Businessとは?機能・利用上限・向いている企業をわかりやすく解説」「Gemini Enterprise Standardとは?含まれる機能・利用上限・向いている企業を解説」で解説しています。
作成・登録の1日あたりの枠は、契約数に応じて共有される
エージェントの作成・登録には、1日あたりの枠があります。枠は1人ずつに配られるのではなく、契約数に応じた件数を合算して組織の中で共有する仕組み(プール)です。
| エディション | 1日あたりの作成数の上限 | 共有する範囲 |
|---|---|---|
| Business(有料契約) | 有料1シートあたり1件/日(ノーコードでの作成) | チーム全体で合算 |
| Standard | 1ライセンスあたり1件/日 | 同じエディションのライセンスを、プロジェクト・ロケーション単位で合算 |
| Plus | 1ライセンスあたり10件/日 | 同じエディションのライセンスを、プロジェクト・ロケーション単位で合算 |
| Pay-as-you-go | 日次の作成上限なし | 利用量に応じて課金 |
| Frontline | 作成・登録不可 | 合算する枠に加算されない |
※プロジェクトはGoogle Cloudの管理単位、ロケーションは利用環境を置く地域を指します。
出典:Business edition usage limits and quotas、Quotas and limits for Workflow Builder、Quotas and overages
Standard/Plusなどで枠を消費するのは、Workflow Builderでの新規作成(下書きを含む)と、ADK・A2A・Dialogflowなどの外部エージェントの登録です。同じエージェントを複数のアプリに登録した場合も登録ごとに1件分を消費しますが、既存のエージェントを使う(実行する)だけなら、この枠は消費しません。
Standard/Plusなどの1日あたりの枠は、太平洋時間の0時(日本時間では夏時間の期間は16時、それ以外は17時)にリセットされます。Pay-as-you-goの「上限なし」は1日あたりの作成枠の話で、共有できる人数などの上限は別にあります。
金額や契約形態は、「Gemini Enterpriseの料金・プランを解説|エディション別の違いと選び方」をご覧ください。
Businessは作成できる役割と画面の違いを確認する
Businessエディションでは、エディションに作成機能が含まれていることと、自分の役割で作成できることを分けて確認します。
Businessでは、カスタムエージェントの作成は管理者(Admin)の役割として案内されていますが、組織の設定によっては利用者(User)の役割でも簡易なチャットエージェントを作成できる場合があります。作成のメニューが表示されない場合は、自分の役割と設定を管理者に確認しましょう。
Businessの画面や機能の名称は、Standard/Plusなどを前提にした解説と異なる場合があります。Google Cloudの資料ではWorkflow Builder、BusinessのヘルプではAgent Designerと呼ばれているため、ほかの記事や資料を参考にするときは、自社のエディション向けの案内かどうかを確認してください。
※画面構成は2026年10月時点のものです。UI変更により配置が異なる場合があります。
エージェントを作る前に準備すること
作る前には、作る側が整理しておくことと、管理者が設定しておくことがあります。この章では、業務の整理、Standard/Plusなどでの機能の有効化、接続先の権限とBusinessの共有設定を確認します。
任せる業務・使う情報・期待する出力を決める
作り始める前に、任せる仕事の範囲を言葉にしておくと、生成されたたたき台を直す手間を抑えやすくなります。次の6点を書き出しておくと、作成するときの指示を考える材料にもなります。
- 任せたい仕事と、任せない仕事
- 参照させる資料と、接続するサービス
- 利用者が入力する情報と、期待する出力の形
- 外部へのメール送信やデータの更新を行うかどうか
- 人が内容を確認・承認する場面
- 動作確認に使う入力例と、合格とみなす条件
外部への送信やデータの更新を伴う場合は、どこで人が確認するかを先に決めておくと安心です。
Standard/Plusなどは管理者がFeature Managementで機能を有効にする
Standard/Plusなどのエディションでは、利用者が作成・共有する前に、管理者が機能を有効にします。Gemini Enterprise Adminのロールを持つ管理者が、Google Cloudコンソールの「Gemini Enterprise」→対象のアプリ→「Configurations」→「Feature Management」タブから設定を切り替えてください。エージェントに関係する主な設定は、次の6つです。
| 設定名 | 設定の内容 |
|---|---|
| Enable Agent Gallery | ウェブアプリにAgent Galleryを表示する |
| Enable chat agents | 利用者がカスタムのチャットエージェントを作成・利用できるようにする |
| Enable workflows | 利用者がカスタムのワークフローを作成・実行できるようにする |
| Enable agent sharing | Workflow Builderで作ったエージェントを、ほかの利用者と共有できるようにする |
| Enable agent sharing without admin approval | 管理者の承認なしで、エージェントを共有・利用できるようにする |
| Enable End Users to share with Groups | 利用者がGoogleグループにエージェントを共有できるようにする |
6つを一律にオンにする必要はありません。共有の範囲や承認の要否は組織の方針で変わるため、必要な機能から有効にしていくのがおすすめです。ほかの記事や資料で「Workflow Builderを有効にする」と書かれている場合は、2026年10月時点の画面では「Enable chat agents」と「Enable workflows」の2つに分かれている点に注意しましょう。Businessエディションは管理の画面が異なるため、ここで紹介した設定の場所は当てはまりません。
接続先の権限と、Businessの共有設定を確認する
Standard/Plusなどでは、エージェントが使える接続先(コネクタ)やツールは、管理者が用意した範囲に限られます。作る前に、使いたい資料やサービスが接続済みか、自分がその資料を見る権限を持っているかを確認しておきましょう。
Businessエディションでは、エージェントを共有できるかどうかを、管理者がチームの設定で切り替えます。初期状態では共有が有効になっており、設定の場所は「Settings & help」→対象のチーム→「Manage team」→「General」→「Sharing」の「Enable agent sharing」です。同じ欄にある「Enable chat sharing」はチャットを共有するための設定で、エージェントの共有とは別に切り替わるため、取り違えないようにしましょう。チームで使うデータソースの追加や削除は管理者が行いますが、利用者が自分のデータを接続することもできます。
※設定画面の項目名は2026年10月時点の公式ヘルプにもとづきます。UI変更により配置が異なる場合があります。
出典:Workflow Builder overview、Create and manage agents using Agent Designer、Enable or disable chat sharing
作成したエージェントを共有・運用するときの注意点
作ったエージェントを組織内に配るときは、共有の条件と、共有先から見えるデータの範囲を確認しておく必要があります。この章では、共有の条件、データの見え方、共有先と運用の決め方を順に見ていきましょう。
共有できる状態と、共有先が実行できる状態を分けて確認する
Standard/Plusなどでは、エージェントの種類によって共有できる状態が異なります。
- チャットエージェント:下書き(draft)の状態では共有できない
- ワークフロー:下書きでも共有できるが、共有先が実行できるのは有効化したあとで、共有先が使うのは公開中のバージョン
初期設定では、所有者は管理者の承認なしで組織内に共有できますが、管理者が「Enable agent sharing without admin approval」をオフにしていると、共有の申請が管理者のレビューに回ります。ワークフローの場合、レビューが要るのは最初の共有だけで、その後の更新では再承認は要りません。
Businessエディションでは画面や条件が異なる場合があるため、まずは限られた相手に共有し、共有先で開けるか、意図した情報だけを参照できるかを確かめてから広げましょう。
Knowledgeとコネクタのデータは、共有先からの見え方が異なる
共有で特に注意したいのが、エージェントが参照する資料の見え方です。Standard/Plusなどでは、参照のしかたによって扱いが分かれます。
- Knowledge(エージェントに直接アップロードした参照ファイル):共有先は、元のファイルへのアクセス権がなくても内容を問い合わせて参照できる
- コネクタやデータストア経由のデータ:利用者ごとのアクセス制御リスト(ACL)と権限が維持され、各利用者は自分のアカウントで見られるデータだけを取得する
Businessエディションでは、エージェントを共有すると、関連するすべてのデータソースとファイルへのアクセスも共有されます。公式ヘルプでは、共有先はファイルやデータソースへの直接のアクセス権がなくても内容を利用できると案内されているため、接続しているデータも含めて共有先に見える前提で考えておきましょう。
Standard/PlusなどのKnowledgeに直接アップロードするファイルと、Businessでエージェントに関連づけるデータソースやファイルは、共有先の全員に見せてよい情報かどうかで選ぶのが安全です。Standard/Plusなどのコネクタ経由のデータは利用者ごとの権限が保たれるため、元のデータの権限設定が適切かを確認しておきましょう。人事・給与の情報や顧客の個人情報のように見せる範囲を絞りたい資料は、共有するエージェントに含めない運用を検討しましょう。データ保護の考え方は、「Gemini Enterpriseのセキュリティは安全?データ保護の仕組みや認証・注意点を解説」もあわせてご覧ください。
共有先の種類・上限・運用担当者を確認する
共有先にGoogleグループを指定できるかは、エージェントの種類や管理者の設定によって異なります。Standard/Plusなどのワークフローでは、初期状態では利用者はグループに共有できず、管理者がFeature Managementの「Enable End Users to share with Groups」を有効にすると共有できるようになります。チャットエージェントは、グループへの共有はアプリの管理者だけが行えると案内されているため、グループ単位で配りたい場合は管理者に相談しましょう。
Standard/Plusなどで共有できる人数や、持てるエージェントの数の上限は次のとおりです(Businessエディション向けの数字ではありません)。
| 項目 | 上限(Standard/Plusなど) |
|---|---|
| 1つのエージェントに直接追加できる個人アカウント | 1,500件(IAMポリシーの上限) |
| Googleグループ | 1グループを1件として数える |
| 1人の利用者が持てるエージェント | 1,000件(管理者が調整可) |
| 1つのアプリのエージェント | 10,000件(管理者が調整可) |
出典:Quotas and limits for Workflow Builder
これらは、1日あたりの作成・登録の枠とは別の上限です。運用面では、エージェントごとに更新の担当者、停止や削除を判断する人、所有者が異動・退職したときの対応を決めておくと、管理が属人化しにくくなるでしょう。Standard/Plusなどでは、アプリの管理者が共有済みのエージェントの所有権をほかの利用者に移せます。
出典:Share a chat agent、Share a workflow、Manage web app features、Create and manage agents using Agent Designer
Gemini Enterpriseのエージェント作成に関するよくある質問
Businessエディションでもエージェントを作成できますか?
2026年10月時点の画面では、Businessエディションでもチャットエージェントを作成できます。作成できる数は有料1シートあたり1件/日で、チーム全体で合算して使う仕組みです。条件分岐や承認を含むワークフローを作りたい場合は、Standard/Plusなどのエディションも比較してみてください。作成のメニューが表示されない場合は、自分の役割で作成できるかを管理者に確認しましょう。
日本語でエージェントを作成できますか?
Geminiのモデルは、公式の対応言語に日本語が含まれています。ただし、これだけでWorkflow Builderの作成機能が日本語に正式対応しているとまでは判断できません。日本語で作る場合は、業務で使う日本語の入力例を用意し、期待どおりの出力になるかをプレビューで確かめてから共有しましょう。
Agent DesignerとWorkflow Builderは別の製品ですか?
Google Cloudでは、Agent DesignerがWorkflow Builderという名称に変わり、2026年9月にWorkflow Builder(旧Agent Designer)として一般提供が告知されました。Businessエディションの公式ヘルプでは2026年10月時点でもAgent Designerの名称が使われていますが、作成できる範囲までStandard/Plusなどと同じとは限りません。古い記事でAgent Designerとして紹介されている手順は、画面や機能が変わっている可能性があるため、最新の公式ヘルプと照らし合わせて確認してください。
出典:Business edition usage limits and quotas、Google models、Gemini Enterprise release notes、Create and manage agents using Agent Designer
まとめ
Gemini Enterpriseでエージェントを用意する方法は、Agent Galleryで用意済み・共有済みのものを使う、Workflow Builder(旧Agent Designer)でノーコードで作る、開発したカスタムエージェントを管理者が登録する、の3つです。開発の体制がない場合は、まず既製や共有済みのエージェントを探し、足りなければノーコードで作れるかを確かめましょう。コード開発は、それでも満たせない要件があるときに検討するとよいでしょう。
作る場合は自社のエディションと自分の作成権限を管理者と確かめ、開発が必要な場合は処理・認証・制御の要件を整理するところから始めましょう。
Gemini Enterpriseの導入を検討されている方は、ぜひムームードメインの無料相談をご活用ください。ムームードメイン経由でGoogle Workspaceをご契約いただくと、Gemini Enterprise Businessを割引価格でご提供できます(割引の対象はBusinessエディションのみ)。日本円でのお見積もりにも対応していますので、こちらの無料相談窓口からお気軽にご相談ください。



